2023年1月31日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2013年8月23日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――仮に専科化が行われたとして、その先には何が待っているのでしょうか?

大津氏:そこから先は開始学年の早期化しかない。ただ、そこまでやっていくうちに英語教育が破綻するのは間違いないでしょう。

 英語の早期教育に関して、私立小学校の一部では、以前から専科の先生や資格を持った英語話者(英語ネイティブ)の先生が教えていますが、宣伝できるような効果が上がっているようには思えない。外国語の仕組みや働きを理解するために必要な気づきが形成されていないからです。小学校のうちは、まず、直感が利く母語を使って、ことばへの気づきを育成しておく必要があるのです。

 念のために付け加えておけば、私は「小学生が英語を含めた外国語に触れること」に反対しているわけではありません。触れる外国語を英語に限ってしまうことによって子どもたちの「英語特別視」を助長してしまうこと、そして繰り返し述べているように、教える体制が整わない状況での中学校英語の単なる前倒しによって子どもたちの英語嫌いを増やしてしまうことを懸念しているのです。

 私はかねてから、小学校で外国語(英語)活動を「ことば活動」化することを推奨してきました。詳細は以前のインタビューをご覧いただきたいと思いますが、日本人の英語特別視、英語コンプレックスから脱却するためにも、英語教育を正しい方向に改革していかなければいけません。今のままでは、今度出した本のタイトルどおり「破綻」は避けられないでしょう。


【付録】小学校での英語活動と英語教育
一口に、「公立小学校に英語を導入する」と言っても、いろいろな形態が考えられます。もっとも基本的な選択肢は、必修とするか、しないかという選択肢になります。もう一つの選択肢は教科とするか、しないかです。2011(平成23)年度から導入された「外国語活動」(学習指導要領に、「外国語活動においては,英語を取り扱うことを原則とすること」とあり、ほとんどの小学校で「英語活動」という形態をとっている。そこで、以下では「英語活動」と呼ぶ)は、必修ではあるが、教科ではないという形態を採っています。

教科ではないので、中学校以降での「英語教育」と区別するために、「英語活動」と呼ばれています。教科ではないことから、教科書はなく、また、数値による評価も行われません。

さらに、つぎの選択肢は、開始学年と配当時間数です。今回の英語活動については、5年生と6年生、いわゆる、高学年の児童を対象とすることになっています。配当時間数は週1授業時間、年間で、35授業時間となっています。なお、以上のことはいわば「標準的な」ケースで、特区指定などを受けた場合など、例外的なケースも存在します。

まとめますと、現在の英語活動は、必修ではあるが、教科ではありません(同じケースとして、道徳があります)。対象は高学年で、週1授業時間の配当となっています。

なぜ、このような選択肢の選び方がなされたのか、その過程や理由については詳らかにされていませんが、おおよそ、つぎのように推測できます。


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