宅配便の総貨物量を推定する
本来、宅配便の1個当たり平均重量は月により、年により変化すると思われるが、敢えて変化しないと仮定して、12年度から21年度までの10年間の宅配便取扱個数をもとに各年度の宅配便の重量を推定すると以下の通りとなった。
上述の仮定に立てば、12年度に4160万7000トンであった宅配便の取り扱い重量は、EC貨物の拡大もあってか、21年度には5844万8000トンと、10年間で40%強の大幅な伸びを示したことになる。この6000万トン近い重量は、多くの消費者の感覚では天文学的数字に見えてしまい、どんな数字なのかイメージが湧かないであろう。
そこで次に、この数字が日本の総貨物量に占める割合について、見ていきたい。
宅配便の物量が日本の総貨物量に占める割合は
上述で21年度の宅配便取扱重量として推定した5844万8000トンという数字を、自動車と鉄道、船、航空機という輸送手段別輸送量の中に当てはめ、宅配便が日本の総貨物に占める分担率を輸送手段と比較したのが、下に示した表3のAである。
天文学的数字に見えた5844万8000トンという宅配便取扱重量が日本の総貨物量に占める割合は、わずか1.4%に過ぎないのである。読者の中には、この1.4%という数字は小さすぎるのではないかと考える人が少なからずおられるであろう。
そこでご覧頂きたいのが、表3のBである。
表3のBは、Aの宅配便の数字を「特積み」の数字に置き換えた表である。しかもこの「特積み」の数字は、推定値である宅配便の数字とは異なり、国土交通省「トラック輸送情報」で発表された正式な数字なのである。
21年度の「特積み」貨物の重量は6656万5000トン、分担率は1.6%という、宅配便の推定値と大きくは変わらない数字となっている。そこで読者の皆さんには、覚えて置いてとお願いした3割強という数字を想起して頂きたい。
04年10月時を対象に行われた「特別積合わせ貨物の内訳」の調査では、宅配便が「特積み」に占める割合は3割強であったのに対し、表3では「特積み」の大部分を宅配便が占めることになってしまうのだ。04年から今までの間に「特積み」のほとんどが宅配便になってしまったということは考えにくい。すなわち、宅配便が日本の総貨物量に占める割合は、実際には1.4%をはるかに下回るとみられる。