W杯の大会期間中、日本協会に取材を申し込んだところ、期間中のスケジュール調整が難しく個別の取材対応は断りつつも、大会終了後のしかるべきタイミングで取材対応を予定しているとの返答があった。協会関係者は、「計画時とはコロナ禍の状況や、為替レートも変わった。スポンサーとの交渉も鋭意続けており、事前の見通しとは前提が異なる点も多く、しっかりと精査する必要がある」と話す。
人気を一過性にしてはならない
日本国内では1990年代、漫画スラムダンクが大ヒット。バルセロナ五輪に出場した米国代表「ドリームチーム」でマイケル・ジョーダンらが活躍したことによるNBAブームも重なって、空前のバスケ人気に沸いた。しかし、お膝元の国内リーグは、プロサッカーのJリーグなどに押される中、実業団からプロ化へ舵を切ることができなかった。
こうした中、2006年に日本で開催された世界選手権で約13億円の赤字を計上。この問題に端を発し、Jリーグのような地域密着を掲げてプロクラブとして自立を目指すbjリーグが誕生し、実業団主体のリーグとの分裂状態が長らく続いた。
10年前にFIBAから問題の解決を迫られ、Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏を招聘。川淵氏の強烈なリーダーシップのもとにリーグ統合が推し進められ、地域に密着した「Bリーグ」が16年秋、日本国内のプロリーグとしては野球、サッカーに続いて誕生した。
さらには、NBAで八村塁選手や渡邊選手が活躍し、女子は東京五輪で銀メダルを獲得。昨今のバスケ人気の定着へとつながった。
W杯は国内でのさらなる人気定着に向けても、鍵を握る一大イベントである。
スポーツビジネスの世界においては、「勝利」「普及」「市場」の3要素が互いに影響し、拡大する好循環を生み出すことが重要だとされる。五輪出場枠を勝ち取った「勝利」は大きな追い風となり、日本代表の選手たちが連日、テレビ出演などでメディア露出を増やすことで子どもたちへの競技の「普及」にも効果が期待される。
一方、「市場」の観点では、新たなスポンサー獲得やファン層の広がりにどうつなげ、資金を獲得していけるかが重要となる。注目度が高い今だからこそ、バスケ界に「新たなマネー」を呼び込めないか。コート上で大健闘した選手たちに報いるためにも、ビジネス的にも大会が成功したかの視点は忘れてはならない。