10月27日未明に心臓発作のため急死した中国の李克強前首相を悼み、多くの市民が李氏が幼少時代を過ごしたとされる安徽省合肥市の旧居を訪れており、膨大な数の花束が捧げられている。また、追悼の言葉や動画もSNSなどに数多く投稿されているが、追悼の声が予想以上に大きすぎたためか、一部では閲覧不可となっていたり、記事のコメント欄が閉鎖されたりする事態となっている。これは一体何を意味するのだろうか。
SNSのトレンド1位から一転
李克強前首相が急死したという一報が中国中央テレビ(CCTV)で流れたのは27日午前8時過ぎ(中国時間)のことだった。筆者はたまたまその時間、中国のネットにアクセスし、朝のニュースを見ていたので、中国の人々とほぼリアルタイムで訃報に接した。
あまりにも突然のことで、中国の一報も最初は短いものだったが、詳細が明らかになっていくにつれ、ウェイボー(微博)などのSNSではトレンドランキング1位になり、驚きの声が相次いだ。
当初、コメント欄は「衝撃的だ」「信じられない」「安らかに」といったものや、ロウソクの絵文字、祈りの絵文字をいくつも並べる投稿が多かったが、時間が経つにつれ、「人民的好総理」(人民のよき総理)という言葉が増えていった。旧居とされる場所に多くの人々が押し寄せ、花束やメッセージカードを寄せていることに、その心情がうかがえる。
しかし、29日時点で、旧居前には警察官が多く配置され、地元の治安ボランティアなどが交通規制を行うなど物々しい状況となっており、追悼が政権批判の活動に発展しないように警戒している模様だ。
そうした警戒もあるからか、死去からわずか2日後の29日、現地メディアの報道は一気に減少しており、SNSの投稿も急速に減っている。2期10年も総理をつとめ、習近平氏に続くナンバー2として君臨した大物政治家だったのにもかかわらず、報道の小ささに違和感を覚える。