2024年12月5日(木)

古希バックパッカー海外放浪記

2023年11月26日

韓国にとり今でも日本は潜在敵国?

 韓国で市民の意識調査や世論調査をすると現在でも日本は北朝鮮に次いで二番目の潜在敵国という調査結果である。今回の韓国旅行中に韓国人に北朝鮮について聞いた限りでは北朝鮮を喫緊の脅威と感じている人はほぼ皆無であった。むしろ「北朝鮮は経済的に破綻寸前だから韓国を攻める余裕はない」「北朝鮮の核開発・ミサイル開発は米国を対象としたもので韓国を狙っているものではない」というような意見が多かった。

 日本に関しては「日本は軍事力を増強している」として基本的に日本を警戒している意見が過半だった。そしてTVニュースを見ていて気になったのが軍事面での「韓米協力」「韓米日の緊密な連携」というようなフレーズは頻繁に登場するが、「韓日協力」というフレーズは皆無であった。

益山市の郊外の春浦地区の抗日運動記念館の独立記念像。1945年8月15日の朝鮮人の歓喜を現わしている。傍らには抗日運動殉難者の石碑

韓国ではヒデヨシは残虐の代名詞、対日警戒論の源流は秀吉の朝鮮侵略

 大日本帝国が朝鮮を統合して植民地支配したことは日本人の誰でも認識しており、現在でも韓国人が怒っていることを日本人は理解している。ところが秀吉の朝鮮侵略について日本人は“歴史の教科書に書いてあった”くらいの認識ではないだろうか。

 韓国人にとり“秀吉の朝鮮侵略”は“大日本帝国の植民地支配”と同様に1000年経っても恨み骨髄の大凶厄災なのである。35年ほど前にソウルの財閥企業本社で商談相手の部長がソウルタワーのある丘陵地帯を指して「秀吉の侵略ですべて焼かれて未だに禿山のままです」と雑談で話していたことを思い出す。9年前に韓国を自転車旅行したときも「韓国で河川の氾濫や洪水が多いのは秀吉によって森林が全滅したからです」と水資源公社のダム管理者から聞いたことがある。両方とも科学的にはあり得ないことだが、ネガティブなことを何でも秀吉軍の侵略に結びつけるのは韓国では珍しくない。

 そしてキリスト教徒の多い韓国でしばしば耳にするのが「秀吉は長崎で26人の宣教師・キリスト教徒を磔にした(26聖人殉教)。秀吉は神をも恐れぬ極悪非道の悪魔だ」という秀吉の人物評である。韓国で最も嫌われている日本人は豊臣秀吉であることは間違いないだろう。

以上 第8回に続く

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