そこで、都道府県別のガソリンスタンド数を比較してみることとした。
表2を見ると、県内のガソリンスタンド数が少ない地域は表1の価格が高い地域とされる鳥取県、福井県、沖縄県、高知県などが含まれる。逆に、ガソリンスタンド数の多い、兵庫、愛知、北海道は表1でも安い地区としてランクされている。このランキングは人口当たりにしても大きくは変わらない。
需要側の要因
原油価格の問題、為替相場の円安化による円建て価格の上昇の問題、製油所と最終消費地の地理的関係、そしてガソリンスタンド競争関係と見てきたわけであるが、最後に需要側の要因についても検討したい。
最終的なガソリンの小売価格が、供給側と需要側の要因によって決まっているならば、需要が多い地域は当然高くなることになる。そこで、家計調査に挙げられている全国主要52都市の家計の平均での年間ガソリン消費量を見ることとする。
表3を見ると、表1で価格の高かった山形、鳥取がガソリン需要(量)の高い地域として挙げられている。逆に、表1で価格の低かった神戸(兵庫)、横浜・相模原・川崎(神奈川)が消費量の小さな地域として挙げられている。
表3の右側地区はいずれも大都市で、自動車を保有しないか、通常の通勤などには公共交通機関を用いる世帯が多いため、1世帯平均にすると年間消費量が小さく計算されている。
ガソリン価格高騰へすべきこと
政府は「燃料油価格激変緩和補助金」、トリガー状況凍結の解除等のガソリン価格の高騰対策を実施している。また昨年秋には、既に住民税非課税世帯に対して、「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」として5万円が給付されている。一般の家計からすれば、生活に必要な商品が少しでも買いやすくなることは歓迎するべきことであろう。
しかし、現在「ガソリンの価格が高い」ということは何を意味するのであろうか。経済学では「価格」は資源配分に係る市場からのシグナルと考えられる。このシグナルに込められた含意は、「その商品の生産にはコストがかかるので、今まで通りに消費し続けるのはなるべく控えてください」とうことである。
補助金で、見た目の価格を引き下げてしまうと、需要は減少せず、品不足はいつまでも続くことになり、出荷元もこれまでと同じような高値で売り続けられるという状況が続いてしまう。
ガソリン価格が高いという市場のシグナルに関しては、価格を補助金で糊塗して捻じ曲げるのではなく、価格高騰に応じて不要不急の自動車外出を控える、公共交通機関を利用する。せめて需要が少ない日に買いに行く(割引日など)などの対応が求められると言えよう。