世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月23日

»著者プロフィール

 もっとも、中国は民進党の政権復帰を見越して、それに備え始めてもいる。2012年秋の謝長廷・元行政院長(首相)の訪中を皮切りに、かつては敬遠していた民進党議員や学者たちを歓迎している。これは、自分たちは思われているほど恐ろしい存在ではないと民進党を説得する思惑と思われる、と報じています。

* * *

 王金平は、李登輝元総統に近く、国民党内「本土派」の代表的人物ともいわれ、「台湾独立も選択肢の一つ」と発言したこともあります。2005年に国民党主席に立候補しましたが、馬英九に惨敗しています。2008年には、ヘリテージ財団の招聘で、台湾要人としては過去最高位の人物としてワシントンを訪問して米台同盟強化について講演し、米当局との間で台湾向け武器供与問題について協議しました。同年、ダライ・ラマの訪台を拒否した馬英九に対しては、再検討を要請しています。また、同年訪日して、台日特別パートナーシップを提唱し、当時首相の座を退いていた、安倍晋三総理とも面会しています。そして、2011年5月には、約300人の観光訪問団を伴い北海道を訪問し、東日本大震災後に台湾からの観光客が激減していた同地の観光産業への支援を約束しました。

 今回の事件の本質は、国民党内の大陸系人士と台湾出身者との相克が表面化し、結果として世論が強い台湾支持を表明した、ということでしょう。台湾の将来、ひいては東アジア太平洋情勢全般の将来に、深い意味を持つものと思います。

 特に印象的なのは、馬英九の支持率が、一時とはいえ、9.2%まで下がったことです。これでは、国民党内でも、馬英九の中国大陸接近政策が今後とも維持できるどうかさえ危ぶまれます。

 2016年初頭の総統選挙までまだ二年半ありますが、このままでは、国民党政権優位が維持されるのか、維持されるとしても内部の統一が保たれるか、機微な局面を迎えていると言えるでしょう。

 特に注目されるのは中国の出方です。中国としては、事態をこのまま台湾民主主義の赴くままに放置するのか、それとも何か積極的な介入の手段を考えるかのディレンマに直面する可能性があります。

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

編集部おすすめの関連記事

関連記事

新着記事

»もっと見る