2024年11月23日(土)

都市vs地方 

2023年12月29日

お年玉の経年推移

 同じ基準で毎年1月の『家計調査』の贈与金の結果から、過去10余年間のお年玉の推移を見ることとしよう。図2を見ると、2つのことがわかる。

(出所)総務省『家計調査』家計収支編 二人以上の世帯(全国)2013.1-2023.1より筆者作成。 写真を拡大

 1つ目は全体として毎年のお年玉の金額は低下傾向にあるということである。2つ目は2019年から減少し、21年の贈与金はここ10年余りで最も少なくなっているということである。このうち、2つ目の21年ごろの一時的な下落は、コロナ禍で親戚同士等の年始の交流が控えられたためと推定される。

 一方、ここ10余年の継続的なお年玉の下落傾向は何を意味するのであろうか。これは、少子化の影響ではないだろうか。

 非婚化、晩婚化、少産化のため、親戚が集まってもお年玉をあげるべき子どもの数は大きく減少してきたと考えられる。このまま少子化が進めば、「お年玉」という風習も過去のものとなってしまうかもしれない。

あげたお金ともらったお金

 上記の『家計調査』では、人に贈ったお金は「贈与金」として記録されていることを紹介した。同時に『家計調査』では、人からもらった方のお金は「受贈金」として記録することとなっている。

 受贈金は「一般社会の慣行により他の世帯及び団体などから自発的に贈られた現金」とされており、例示として「持参金、結納金、見舞金、祝金、せん別、香典、謝礼金、チップ」などがあげられている。ここで、論理的には日本中の全ての贈与金は日本のどこかの受贈金として記録されるため、贈与金総額=受贈金総額といえる。そこで、『家計調査』の受贈金の記録はどのようになっているのかが気になり、調べてみた(図3)。

(出所)総務省『家計調査』家計収支編 二人以上の世帯(全国)2022.10-2023.09より筆者作成。受贈金:勤労者世帯。贈与金:全ての世帯。 写真を拡大

 図3を見ると、贈与金と受贈金の推移はおおむね似通っており、1月と3月にピークを迎えている。しかし、両者の金額には約2000円から最大8000円近くの開きがある。どうやら、受け取った方の家計は収入として申告していないか、受け取ったありがたさを十分認識していないようである(贈与金は全ての世帯、受贈金は勤労世帯だけで調査されているが、1世帯1カ月当たりの値で比較すれば、大きな開きはないものと考えられる)。


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