地域別の比較
さて、お年玉に話を戻そう。地域別に金額の違いを見てみることとする。『家計調査』では、各都道府県の県庁所在地・政令指定都市別に、贈与金を公表している。23年1月の贈与金の金額を地域別にみてみる。
表1は23年1月のお年玉(贈与金)支出額を示している。これを見ると、地域別に大きな開きがあることである。
最も金額の多い地域は大阪市で4万円を超えているのに対し、最も金額の少ない地域は奈良市で約5800円である。その差は6倍以上になる。もっとも、お年玉(贈与金)は、その地域の慣習(子どもに対するおこづかいの渡し方)にもよると考えられるので、金額が多いほど良いとか、少ないと悪いとかを一概に言うことはできない。
ちなみにお年玉については、ウェザーニュースが22年のお年玉出費額を県別に直接調査したアンケートも存在する(22年1月11、12日にスマホのアプリより実施 7105人が回答)。その結果では、第1位は徳島県の1万6656円であり、大阪府は23位の9534円、奈良県は逆に大阪府より多く、13位で1万1164円であった。このウェザーニュースの調査での47位は岩手県の5516円であり、表1とはかなり異なった結果である。
お年玉はどう「改定」されるべきか
お年玉の相場や地域間の違いが見えてきたところで、表1の結果を使いながら、24年には23年と比べてどれほどお年玉を引き上げるべきかを考えることとしよう。
(1)最低賃金の改定に準拠する場合
23年10月に23年の最低賃金が適用となった。子どもたちにとってお年玉は貴重な収入であり、「大人の賃上げ」と同様に引き上げも必要であろう。また、お年玉を払う親側の収入も改訂されているのであれば、それに見合ったお年玉支出の引き上げもありうる。
最低賃金はこの1年で、全国平均ベースで時給961円(22年)から1004円(23年)へと4.5%改訂された。したがってこれに基づけば、今年のお年玉は平均4.5%アップということになる。例えば昨年のお年玉が1万円であったならば、4.5%を切り上げて5%=500円程度アップの1万500円というイメージになるであろうか。
表2に示された、地域別の最低賃金の改定率からすると、都会よりも地方の方が改定率が高く、地方の子どもたちには5%以上の改定が期待できる。ただし、都会の子供たちが帰省で地方に行ってお年玉をもらうとするならば、都会の子どもたちも地方の改定の恩恵に浴するチャンスがあるかもしれない。
(2)物価上昇率に準拠する場合
次に、お年玉を使って子どもたちが買い物支出をすることを考えれば、この1年の物価上昇分を補填できるだけのお年玉の引き上げが必要になる。さもなければ、物価上昇分だけ24年のお年玉の実質購買力が低下してしまうこととなる。