2024年12月7日(土)

脱炭素・脱ロシア時代のエネルギー基礎知識

2024年2月10日

 いま多くのメディアの関心事の一つは温暖化問題です。テレビコマーシャルでも新聞、雑誌の広告でも「脱炭素」「二酸化炭素排出ゼロ」が目立つようになってきました。

(Valentina Shilkina/gettyimages)

 脱炭素が温暖化対策につながるのには理由があります。地球の気温を上昇させる温室効果ガスと呼ばれる7種類のガスの中で排出量が最も多いのは二酸化炭素(CO2)です。

 燃焼によりCO2を排出する化石燃料、石油、石炭、液化天然ガス(LNG)の消費量を削減すれば、CO2排出量の減少を通し気温上昇の抑制につながるはずです。

 そのため、今世界の多くの国は脱炭素と呼ばれる化石燃料消費量の削減に乗り出しています。日本を含む先進国は2050年に温室効果ガスのネットゼロ(排出量から森林、海洋などによる吸収を考慮した純排出数量をゼロに)を宣言しました。

 温暖化問題に熱心なのは企業だけではありません。過激な環境活動家の中には、やがて地球は温暖化により滅亡するとして「最後の世代」を名乗る人たちもいます。ゴッホ、ダ・ヴィンチの絵にペンキなどをかけ世間の注目を集めようとする人たちもいます。

 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、スピーチの中で「地球は沸騰している」と発言しました。地球温暖化は人類を滅亡させるのでしょうか。

 私たちは将来の問題を考える時に、過去から学ぶことも必要です。人類は過去多くの問題に直面しながら生活の質を改善し豊かになってきました。人類は温暖化問題を乗り越えることができないのでしょうか。

温暖化はなぜ進む

 太陽光は地球の表面で反射し赤外線、放射熱になります。地球を取り巻くCO2などの温室効果ガスは、赤外線を吸収する性質があることが実験室では確認されています。地球規模でも同じように吸収が行われていると考えられています。

 温室のガラスのような効果をもたらすので、温室効果ガスと呼ばれます。もし温室効果ガスが大気中になければ、地球の平均気温は33℃下がります。

 米国海洋大気庁によると、20世紀の地球の平均気温は13.9℃でした。2023年の平均気温は、20世紀の平均気温を1.18℃上回りました。もし、温室効果ガスがなければ、平均気温はマイナス18℃になります。

 そうなれば、水面が凍り付き生物が存在するのは難しくなります。温室効果ガスは必要ですが、多くなると熱の吸収が増えるために地球の気温を上昇させることになります。


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