インドに関しては、デユームは、インド人が脱出を図る理由として ①汚染された都市、②税務当局による嫌がらせ、③劣悪な公衆衛生プログラム、④粗悪な都市インフラなどから逃れたいとの点を挙げている。これらに加え、カースト制度、ヒンズー教とイスラム教の対立といった問題もあると推測する。
日本も考えるべき在留邦人の状況
中国人とインド人の海外脱出の増加は、日本にとっても人事ではない。日本は深刻な人口減と労働力不足に直面しており、その対策の一環として、現在、技能実習制度と特定技能制度の改正に取り組んでいる。
今年の通常国会で改正法案が審議される。また、AI関連技術者などの高度人材の受け入れにも取り組んでいる。向上心のある勤勉な外国人材(中国人、インド人を含む)を迎え入れることは、日本の将来にとって不可欠である。
この10年間で日本人の人口は約381万人減少している。22年の1年間で約75万人減少した。この人数は福井県の人口に相当する。毎年一つの県が消滅している規模の減少数になっている。
23年6月現在、日本に在留する外国人は、約322万人いる。中国人が1位で約79万人、2位はベトナム人約52万人、インドは約4.6万人で「その他」に分類されている。
在留外国人は10年前より約115万人増加し、日本人の減少分の約3分の1程度を補っている。また、23年10月現在、日本で働く外国人労働者は約205万人であり、この10年間で約3倍増となっている。
価値総合研究所の試算(22年2月公表)では、30年には約419万人の外国人労働者が必要と見込まれており、国を挙げての取組みが不可欠である。