2024年11月21日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年2月29日

遊漁船が釣る漁獲量データは?

 漁業管理を機能させて資源を回復させていくために欠かせないものがあります。それは漁獲データです。日本の場合、このデータ管理がしっかりしていません。遊漁船になると、そもそもデータを取っていないので、年間どの魚種がどのくらい釣られているかもわかりません。

 体長や持ち帰り尾数を制限している場合があると言っても、遊漁船で釣りをしたことがある方はご存知と思いますが、ほぼ機能していません。遊漁船でこの規制を理解して実行している釣り人は、ほとんどいないでしょう。

 ところで例外として福島県のヒラメ釣りを挙げてみます。福島県では大きなヒラメが釣れる海域があります。県の体長制限は30センチですが、自主的に50センチに制限しているところがあります。

ヒラメの体長・体重(出所)水産研究教育機構 写真を拡大

 上のグラフをご覧ください。30センチのヒラメはまだ1歳です。地域差はあるかも知れませんが福島県では3歳以上、つまり50センチ以上に制限しております。

遊漁船にて30センチ程度の小型のヒラメ(筆者提供)

 30センチの子どものヒラメを獲り続ければ、資源を持続するために産卵できる親は増えていきません。ちなみにヒラメの寿命は10年以上ありますが、日本ではそこまで成長する前にほとんど漁獲されてしまいます。

 一方で体長制限を50センチにすることで、これが守られていれば、成長乱獲が起きにくくなります。なお30センチのヒラメではカレイのようなサイズで、とてもヒラメのサイズと言える大きさではありません。

 釣り人としては50センチもあるヒラメなら2~3尾でも持ち帰れば食べきれないくらいの量になります。ところが小さなヒラメの場合は、可食部が少なく家で食べるのにはもっと尾数が必要です。

 サイズ制限によってある程度の資源管理はできます。キャッチ&リリースも効果的です。小さな魚だけでなく、大きな魚も含めてリリースされていけば、資源の減少をある程度まではくい止めることができます。しかしながら、やはり数量管理が不可欠です。

ニュージーランドでキャッチ&リリースされる大型のヒラマサ(茂木陽一撮影)
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