2024年11月21日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年2月29日

 ところで日本ではいまだに「大漁祈願」です。一方で大きな魚がたくさん釣れる北米・北欧・オセアニアなどでは、資源量を厳格に管理しています。漁獲量ではなく、漁獲枠内での水揚げ金額をいかにして最大にするかが重視されているので、「大漁祈願」といった感覚はありません。

同じ海でも、日本と海外では釣れる魚が大きく異なる(茂木陽一撮影)

 科学的根拠に基づく管理と自主管理という資源管理方法の違いにより、海の中に大きな魚がたくさんいる国と、そうでない日本とに分かれてしまったのです。そして水産業が成長と衰退という形で全く対照的になってしまいました。

 水産業だけでなく、魚が減って釣れなければ釣りに関わる産業も低迷してしまいます。一方で資源が持続的になれば、成長産業として発展を続けます。

漁業と釣りとの不要な確執

 日本では、巻き網や底引きといった魚をたくさん獲ることが出来る漁業と、沿岸漁業、そして遊漁船との確執が絶えません。

 零細な沿岸漁業者の中には、巻き網漁船や底引き船が一網打尽にしたから魚が減ったと考えている方が少なくないと思います。また遊漁船を良く思っていないケースもよくあります。

東京湾でのタチウオ釣り。尾数やサイズ制限はない(筆者提供)

 一方で科学的根拠に基づいて漁獲枠を設定し、それを沿岸漁業優先で漁業ごとに配分している代表例であるノルウェーではどうでしょうか? 同国の漁業関係の代表者に話を聞いたことがありますが、日本のような確執は起きていないとのことでした。また同国では小型漁船から大型漁船に至るまでの仕事の満足度は実に99%です(SINTEF2016年のデータ)。

 大前提として水産資源管理が機能しているために、大きな魚が海の中にたくさん泳いでいる現実があります。さらに沿岸漁業者のように、大型の漁船に比べて漁獲量が少ない漁業に優先して漁獲枠が配分されているから、漁業者間の不満が生じないのです。


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