2024年11月23日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月22日

 ガザ、ウクライナ戦争が続く中、世界の反応は皆無だ。隣国は無関心と軍事政権との関係維持の間で揺れている。

 中国は軍事政権と緊密な関係を維持する一方、国境周辺の民族民兵を支援。シャン州の反乱軍の成功は中国の暗黙の支援が理由だ。中国はミャンマー国境周辺の無法地帯のコントロールに関心がある。同地域はインターネット詐欺や奴隷労働他多くの不法活動の中心だ。

 この戦争をまともに終らせるため米国は多くをすべきだ。バイデン政権は既に手段を持っている。

 一昨年、米議会はビルマ法を可決。同法は人道支援供与と連邦制と民主主義支援、民兵とPDFに対する非致死性支援を呼び掛けている。しかしビルマ法には予算配分が無く実際支援は皆無だ。

 ミャンマー内戦は転換点にあり、今米国が支援を増やせば変化をもたらし得る。バイデン政権は全反乱軍グループと国家統一政府との対話を開始し共通議題である連邦制と民主主義の元に糾合し、反乱勢力が戦争に勝利するため、軍事政権の武器調達資金停止を始め、何を必要としているのかを聞くべきだ。バイデン大統領は、修正ビルマ法から削除された民主主義のための特別調整官指名を考えるべきだ。

 われわれは軍事政権の最終的崩壊の可能性を見ている。その後に起こることに備えビルマが将来民主主義化する可能性を確かにするには、今行動すべきだ。

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「チャレンジ・シェアリング」の時代

 世界には、多くの「忘れられた紛争」があるが、ミャンマーは、アジアにおけるその最たるものだ。現在は「紛争頻発時代」であり、しかも一つの紛争が世界的影響を持ちうる場合が多々ある。

 アジアで言えば、北朝鮮核問題、台湾に加え、南シナ海での中国の威嚇、更にロシアの日本侵攻の可能性さえ否定できないが、このどれが起こっても、その世界的影響はウクライナ紛争を大きく上回る。そうした中で、ミャンマー紛争は、大国の死活的利害関係に巻き込まれている度合いが低いので、忘れられても仕方ないと言っても過言ではない。それぐらい紛争は頻発しているのだ。

 なぜこのように紛争が頻発しているのか。それは、われわれは「チャレンジ・シェアリング」の時代に入っているからだ。米国はその能力についてはいまだに世界唯一の超大国と言って良く、その気になれば、ウクライナ戦争やガザ戦争を終わらせる力を持っているが、その力を使う意思が萎えている。


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