2023年度もまもなく期末を迎えます。今年度は読者の皆さまにとってどのような一年だったでしょうか。
今回は、今年度のWedge ONLINEで特に多く読まれた記事を、ビジネス、国際問題から歴史、スポーツまで幅広く集めました。
新年度に受けて、ビジネスパーソンの方にぜひ読んでいただきたい10本をまとめてお届けします。
<目次>
1:「長篠の戦い」を分けた家康の家臣たちの決断(2023年6月4日)
2:中国が仕掛けたEV蟻地獄に陥る欧州、日本の行方は(2023年6月22日)
3:馬鹿にできない時間の節約、容量16キロの洗濯機から透けて見える日本(2023年8月16日)
4:知ってほしい建設現場の実態 分かってほしい私たちの仕事を(2023年8月21日)
5:処理水問題で実は焦る中国 日本は毅然とした対応を(2023年9月5日)
6:サンマはどこに消えた?日本人が知るべき事実(2023年9月20日)
7:「問題はゼネコン側にある」ベテラン大工が語る建設業界(2024年1月6日)
8:このままでは日本人の手で日本の漁業が滅びる(2024年1月15日)
9:世界で唯一、自ら損をする日本のズワイガニ漁 このままでは千載一遇の好機を逸する(2024年1月23日)
10:【フィギュア】羽生結弦「RE_PRAY」で見せたプロの仕事 なぜ、彼はこんなにもストイックになれるのか?(2024年2月20日)
1:「長篠の戦い」を分けた家康の家臣たちの決断(2023年6月4日)
かつては「日の昇る国」といわれた日本も、気づけば、国力も企業の覇権力も失墜してしまったが、「賃上げ」という忘れられた言葉が蘇った機をとらえて、今こそ不死鳥のように華麗に鮮やかに再び舞い上がりたいものだ。そうするにはどうしたらよいのだろう。
そんなことを筆者に考えさせたのは、「長篠の戦い」で見せた〝信長の発想力〟だった。
長篠の戦いは、信長・家康連合軍と武田軍の合戦で、長篠城(愛知県新城市)の西方2.5キロメートルのところにある高原「設楽原」(したらがはら)で、1575(天正3)年5月21日に行なわれた。今の暦でいうと6月29日、蒸し暑い季節だ。戦いは午前5時から午後3時まで10時間にわたる激戦となり、死者は織田・徳川軍6000余、武田軍1万余にのぼった――。
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「長篠の戦い」を分けた家康の家臣たちの決断
2:中国が仕掛けたEV蟻地獄に陥る欧州、日本の行方は(2023年6月22日)
電気自動車(EV)が売れている。中国ではバッテリー稼働(BEV)とプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を合わせたEV乗用車の月間販売台数が今年3月から50万台を超え、販売される乗用車の3台に1台がEVになった。
欧州主要国、独英仏では、販売される乗用車の5台に1台がEVになっている。5月の世界のEV乗用車の販売台数は、100万台を超えたはずだ。
22年の世界の自動車の販売台数は約8200万台。国際エネルギー機関(IEA)によると、EV乗用車の販売台数は約1020万台。トラックなどの商用車を含めるとEV車は1050万台になり、シェアは12%を超えた。
中国と欧州の乗用車市場に米国の乗用車、SUV、ピックアップトラック市場を加えると、3市場は世界の約7割のシェアを持つ規模になる。EVのシェアが大きい中国と欧州だけで世界市場の約5割だ――。
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中国が仕掛けたEV蟻地獄に陥る欧州、日本の行方は
3:馬鹿にできない時間の節約、容量16キロの洗濯機から透けて見える日本(2023年8月16日)
洗濯機の対応容量は、今、最大はどれくらいか、ご存じだろうか。日本市場で売られているモデルの最大容量は、タテ型が14キロ、ドラム式は12キロだ。14キロのタテ型は、アクア社の1モデルだけなので、12キロが最大といってもいいかもしれない。
洗濯物は1人1日、1.5キロが目安。中身はワイシャツ1枚、肌着1枚、トランクス1枚、綿パンツ1本、タオル2枚、靴下1足、パジャマ上下1組。1日の洗濯量は、カップルなら3キロ。子どもが2人いると6キロとなる。結構な量だ。
そして洗濯は、毎日やりたくない家事の代表例。洗濯自体は洗濯機が頑張るとしても、干さなければならないし、取り込み、畳み、収納しなければならない。それだけならまだしも、ワイシャツ、ハンカチなどはアイロンをかけなければならない――。
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馬鹿にできない時間の節約、容量16キロの洗濯機から透けて見える日本
4:知ってほしい建設現場の実態 分かってほしい私たちの仕事を(2023年8月21日)
海外パビリオンの建設遅れで、大阪・関西万博の開催(2025年)を危ぶむ声が増えてきた。関係者からすれば悩ましい問題だが、建設の側からすると「チャンス」だとも思える。それくらい、建設現場には、人材も、工期も、予算も足りていない。そのことを多くの人に知ってもらう機会になるかもしれない。
24年から残業規制が強化される。施行まで5年の猶予があったのに、何をしていたのか、という批判もある。しかし、人材は簡単に見つかるものではない。そもそも、残業規制で罰則を与えても、建設業特有の構造問題を解決することはできない。
建設現場は天候によって仕事の進捗が左右される。雨が降って工事ができなかった分、工期に合わせるために深夜、休日に作業をするのは当たり前だ。夏場の猛暑日になると、ニュースで「外出を控えてください」と呼びかけるが、「今日は気温が35度なので、現場は休みです」なんてことはありえない――。
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知ってほしい建設現場の実態 分かってほしい私たちの仕事を
5:処理水問題で実は焦る中国 日本は毅然とした対応を(2023年9月5日)
(写真:AP/アフロ)
8月24日に開始された福島第1原発関連の処理水の海洋放出をめぐって、中国側の異常な反応が目立つ。中国側は今年1月あたりからこの件について言及を開始し、すでに更迭された秦剛前外相も、今年3月の就任記者会見で明確に言及している。以降、処理水の海洋放出については、その安全性が科学的かつ客観的に担保されているにもかかわらず、中国側は日本に対する一方的で非科学的な論難を、次第にエスカレートさせてきた。
おそらく中国側が処理水について言及をはじめた背景には、日本が米国主導の対中半導体規制に協力し、また、台湾情勢についても中国の武力介入を許さない姿勢を明確化するなかで、対日牽制のカードとして利用する意味合いがあったと推測される。しかし、これは結果として中国にとっての悪手となった――。
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処理水問題で実は焦る中国 日本は毅然とした対応を
6:サンマはどこに消えた?日本人が知るべき事実(2023年9月20日)
写真の光は、日本の漁船から撮影した、外国船の集魚灯です。光に集まる習性を利用してすくい獲るのが、サンマ棒受け漁です。想像がつかないかも知れませんが、公海上の狭い漁場で、日本漁船も含めた各国の漁船が、少なくなったサンマを狙って日々ひしめき合って操業しているのです。
かつて毎年8月末頃から1尾100円前後で、売り場を埋め尽くしていた秋の風物詩サンマ。しかしながら、その光景はすでにありません。「今年こそは!」と期待しても、すでに諦めている方は少なくないはずです。
価格がクロマグロの初セリ価格のようになったサンマ。恒例の初セリ、2023年1月5日の豊洲市場でのクロマグロ(1尾212キロ)の初セリ価格は、キロ17万円でした。一方で23年8月19日の札幌市場でのサンマ(1ケース・約3キロ)の初セリはキロ23万円と、クロマグロの初セリのキロ単価を超えています――。
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サンマはどこに消えた?日本人が知るべき事実
7:「問題はゼネコン側にある」ベテラン大工が語る建設業界(2024年1月6日)
「現場の課題と仕事の醍醐味とは?」。この道30年のベテラン大工の本音に迫る。
片山淳一さん(仮名)50代・大工
私が建設業界に入ったのは、学生時代のアルバイトがきっかけです。当時はバブル景気の真っ只中で、今と同じように職人が不足していた。学生バイトにも1日1万2000円を支払ってくれたほど。現場にはいい人が多くてね。だから一般企業には就職せず、大工の道に進むことにしました。昔も今も大卒の職人なんて珍しいです。今となってみれば、人生を間違ったのかもしれません(苦笑)。
大工をやって30年以上経つので、現場の職長を任され、若い人を教える機会も増えています。でも日当は1万8000円です。残業すると少しは増えますが、学生バイトの30年前とそんなに変わらない。業界以外の人は驚くでしょう。これが建設現場の現実です――。
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「問題はゼネコン側にある」ベテラン大工が語る建設業界
8:このままでは日本人の手で日本の漁業が滅びる(2024年1月15日)
昨年末、2024年度予算が閣議決定した。うち水産予算は前年度補正を併せて3169億円と、過去最高だった前年の3208億円(前年度補正含む)をやや下回るものの、3100億円台を維持した。18年度まで水産予算は2300~2400億円程度であったが、同年末に国会を通過した漁業法の改正に歩調を合わせ、予算は一気に増額した。
漁業法の改正で目指されたのは、科学的な資源管理に基づく水産資源の回復と水産業の持続的な発展であると言える。これまで国が資源評価対象としていたのは計50魚種で、漁獲総枠(「漁獲可能量(Total Allowable Catch: TAC)」と呼ばれる)を決めて管理を行っていたのは8種に過ぎなかった――。
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このままでは日本人の手で日本の漁業が滅びる
9:世界で唯一、自ら損をする日本のズワイガニ漁 このままでは千載一遇の好機を逸する(2024年1月23日)
2023年の年末カニ商戦は好調でした。これはカニの輸入価格が大幅に下がったことにあります。大幅に下がった理由は、米国が2023年6月下旬からロシアのウクライナ侵攻の制裁として、ロシア産水産物の輸入禁止に踏み切ったためです。
このため、ヒートしていた国際買付け競争が落ち着き、タラバガニも含めカニの輸入価格が大きく下がったのです。しかし、現在の状況は一時的に過ぎません。
このままでは需要増加による買付け競争再開で、価格は再び上昇傾向になるでしょう。そこで、ポテンシャルはあるものの、とてももったいない国産ズワイガニの資源管理の話をしましょう。
下のグラフは、毎年輸入の主力を占める、ロシア産の冷凍ズワイガニの価格推移です。ロシア産ズワイガニの比率は2023年(11月までのデータ)で全体の約7割と最大です――。
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世界で唯一、自ら損をする日本のズワイガニ漁 このままでは千載一遇の好機を逸する
10:【フィギュア】羽生結弦「RE_PRAY」で見せたプロの仕事 なぜ、彼はこんなにもストイックになれるのか?(2024年2月20日)
魂がこもった約2時間半の熱演だった――。2014年ソチ、18年平昌でオリンピック(五輪)2連覇を果たしたプロスケーターの羽生結弦さんの初の単独ツアー公演「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd ”RE_PRAY” TOUR」が19日、横浜市・ぴあアリーナMMで千秋楽を迎えた。
昨年11月の埼玉、1月の佐賀、そして17日から始まった横浜を合わせた全6公演を全力で駆け抜けた。メディア公開された19日も、一瞬たりとも気を抜かず、精根を使い果たすほどのパフォーマンスで、ゲームの世界観を通じ、命についても問う壮大なストーリーを演じ切った。
あいにくの悪天候に見舞われた2月19日午後の横浜は、雨脚が強くなっていた。JR桜木町駅からぴあアリーナMMへと続く道を、多くのファンが歩みを進めていた――。
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