2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月30日

 Foreign Policy誌は、米国・サウジ間の安全保障条約の締結への期待が高まっているところ、この件は元々、サウジ・イスラエル間の国交正常化とのパッケージだったが、ガザの衝突後、国交正常化に関わるサウジの要求をイスラエルが呑み得る状況ではなくなっており、イスラエルを絡ませると米国・サウジアラビア関係に悪影響が及ぶのでパッケージにするべきではない、とのクック同誌コラムニストの論説‘Saudi Arabia Is on the Way to Becoming the Next Egypt’を5月8日付で掲載している。要旨は次の通り。

(Ruma Aktar/gettyimages)

 過去数週間、米国・サウジアラビア間の安全保障条約締結への期待が高まっているがサウジとイスラエルの関係をどうするのかという難問が残っている。

 この件について2023年に米国・サウジ間で協議が始まって以来、米大統領府は、サウジとの単独の安全保障条約では上院の十分な支持を得られない(註:条約の批准には上院の3分の2の支持が必要)が、この取引にサウジとイスラエルの関係正常化が含まれれば上院の支持をより得られるだろうと考えていた。しかし、ガザの衝突後、イスラエルとの関係正常化に対するサウジ側の要求はイスラエルが受け入れられない内容となっている(註:エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家の樹立等と思われる)。

 以前、バイデン大統領はサウジのムハンマド皇太子を「好ましからざる人物」だと宣言し、米議会も同皇太子に人権侵害の責任があると非難していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻以降、油価は高騰し、22年4月にはバイデン大統領自らがサウジを訪問して原油の増産を要請した。

 また、インフレ対策、中国に対する強硬政策でもサウジアラビアが鍵となっている。さらに、イランの脅威がある。バイデン大統領は、トランプ前政権が離脱したイラン核合意の復活を目指して来たが、結局、イランは米国やGCC諸国と新たな関係を築きたくないのだと結論付け、イランを封じ込め、抑止することにしたように思われる。


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