機関車数や現業部門従業員数についてはコンテナ貨物用と車扱貨物用に仕分けられていないが、貨車数と深い相関関係があることを考慮すると、それらの数値についても必要最低限に抑えられていると考えるべきであろう。
「2024年問題」の対策として国がまとめた「物流革新緊急パッケージ」におけるモーダルシフトの推進について、「鉄道(コンテナ貨物)、内航(フェリー・RORO船等)の輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増」をめざすとされているが、1987年4月1日の発足以来35年以上をかけて貨物輸送・取扱能力の削減に注力して来たJR貨物にとって、ベクトルを180度反転させてキャパシティーを倍増させる方向に向かうことは、極めて難しいと考えるのは筆者だけであろうか。
鉄道コンテナ輸送の位置づけとモーダルシフトの意味
ここで、前々回において内航RORO船・コンテナ船・フェリーにとって「倍増」とは何かにつき取り上げたことに倣って、鉄道コンテナ輸送にとっての「倍増」とは何かにつき触れておきたい。
下表は、「2021年全国貨物純流動調査」(3日間調査)にもとづいて、重量ベースで算出した輸送モード別分担率を示している。ご覧の通り、鉄道コンテナ輸送の分担率はわずか0.56%に過ぎないのである。
前々回、内航RORO船・コンテナ船・フェリーについても同じような指摘をした記憶があるが、この1パーセントに満たない鉄道コンテナ輸送の分担率を倍増させたとしても、トラック輸送貨物の14%強が運べなくなる可能性さえ予想されている「2024年問題」の解決にどれほど貢献できるのか、疑問に思われる読者も多数おられるのではなかろうか。
しかし筆者は、「鉄道(コンテナ貨物)の輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増」をめざすという方向性にこだわらず、これまでも申し上げてきた通り、モーダルシフトは日本の貨物輸送が「2024年問題」から脱却し、生まれ変わるために必要不可欠な戦略であると確信している。
そこで次回は、そのような観点に立って、日本の鉄道コンテナ輸送事業にはどのような選択肢があるのかにつき、考えてみたいと思う。