2024年12月7日(土)

都市vs地方 

2024年10月16日

 大阪圏、名古屋圏そしていわゆる札仙広福4都市以外にも都道府県域を越えて各広域都市圏の中心となりうる都市はある。各県の中でも県庁所在都市をはじめ中核的な都市がある。これらを中心として相互の有機的なネットワークが形成される政策を推進しないと地方創生は実現しない。

東京から分散すべき機能は何か

 皇居・国会・内閣を東京から移転するべきと主張する人は少ないだろう。国力を削ぐ結果となるのが明らかだからである。石破首相が唱える防災省ないしは防災庁は東京都区部以外の地域に設置した方がいいという議論はあるかもしれない。首都直下地震の発生可能性を考えるとなおさらである。

 同じ理由で、防衛省も東京都区部以外に立地すべきかもしれない。シビリアン・コントロールのために通信システムのさらなる充実は必要だが、かつて1923年の関東大震災のあと、首都移転を強く主張したのは当時の陸軍だった。これらは一例にすぎないが、政府行政機能の一部を東京区部から移転する議論は進めるべきではないか。

 文化庁は京都に移転したが、文部科学省も必ずしも東京都区部でないほうがいいという意見があるかもしれない。そもそも大学や専門学校がこれほど多く東京都区部に存在するのはなぜなのだろうか。

京都に移転した文化庁(アフロ)

 大学の教育・研究機能のうち、たとえば都市工学などは大都市中心部に立地したほうがよいだろう。研究上もそうだし、教授陣が大都市行政に協力する上でも便利だろう。

 社会人が働きながら学ぶ分野は都心に立地すべきだろう。しかし郊外や地方都市にあったほうが研究・教育環境がいい分野も多いのではないか。

 そもそも大学は固定資産税がゼロである。日本の安全保障上、重要産業とされるようになった農業でさえ軽減はされているものの、固定資産税を払っているのに大学はゼロである。

 だから地価の高い都心に立地する必要がない部門も負担感なく都心に立地する。学生募集には都心立地が有利だと言う大学人もいる。現状でよいのか、論点とすべきである。


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