現代教育の問題もえぐる
サスペンスドラマの背景には、現代の教育批判がある。
文化祭に参加するテーマとして、文部科学省が定めた「学習指導要領」を取り上げて、展示物にしたいという女子生徒が現れる。実は、この生徒の父親は国語の教師だったが、指定の教科書を使わずに、手製の教科書で授業をしたことから退職に追い込まれた。
文化祭の当日には、文部科学省の副大臣も視察に訪れる予定だった。「学習指導要領」を真っ向から取り上げる展示については、学校側から教室の使用許可がおりなかった。そこで、御上が生徒たちに入れ知恵して、展示内容を「世界の教科書」として、実際は本来の展示を行った。
御上が担任を務める3年2組の生徒たちが、自主的に高校生のビジネスコンテストに出場することになった。コンテストの主催団体と文部科学省の結びつきが強いために、毎年の優勝校はほとんど事前に決まっている状態だった。
御上はそのこと生徒たちに告げるが、彼らはひるまなかった。社会貢献できる企業への投資をするビジネスモデルを提案して、見事に優勝を遂げた。
御上は、いっさい手を出さずに生徒たちのディスカッションに任せた。
劇作家であり、演出家でもある詩森ろばの脚本にも注目
ひとりで会場をあとにした、御上を神崎が待ち構えていてこういうのだった。
神崎 父親からの情報であした、あんたの兄の話が週刊誌に出る。
御上 もう終わったことだ。
神崎 俺があんたなら終わらない。俺は終わった。次はあんただ。
御上と彼の兄はともに、赴任中の私立高校・隣徳学園の生徒だった過去があることは、ドラマの伏線となっている。
脚本の詩森ろば(しもり・ろば)は、ラストまで緊迫したシーンを描いていくのだろう。劇作家であり、演出家でもある詩森の起用は学園ドラマの名作に必ずつながるだろう。
ドラマの俳優陣をみても、教師役の松坂桃李や吉岡里帆をはじめ、新聞部長役の奥平大兼ら生徒たちのなかに舞台の経験者が多いのもうなずける。