2026年1月10日(土)

インドから見た世界のリアル

2026年1月9日

 インドは、「アメリカに頼れない」と考える一方で、ロシアにも頼れないことが明白になった年でもあった。12月に訪印したプーチン大統領との間で、大きな合意があるものと期待された。インドがロシアから武器を購入するのではないかと思われたからだ。しかし、何も起きなかった。

 インドは、ロシアから武器を購入したいが、ロシアには売る武器がない。自らウクライナの戦争で使ってしまっているからだ。インドにとってロシアは、頼りないパートナーになりつつある。

中国への不安は尽きない

 24年10月以降、インドと中国の関係は、若干の進展を見せている。25年は、印中間で大きな問題は起きなかったように見えた。それでも、インドの不安は尽きない。

 過去、印中国境は、80年近く、戦闘が断続的に続いてきた場所である。2010年代に入っても、印中国境における中国側の侵入事件数は長期的に増加傾向にあり、11年の213回から19年には663回になり、20年にはインド側だけで死傷者100人近くを出す衝突に至った(中国側の死傷者は不明)。毎年のように悪化してきた情勢が、一時的によくなったとしても、それが長期に続くとは考えられない。

 しかも、インドが不安視するのは、チベットで続く中国のダム建設だ。インドに流れる大きな河川の源流はチベットにある。もし中国が上流でダムを多く建設し、水の流れをコントロールできるようになれば、インドへの水を減らしたり、逆に放流して洪水を起こすこともできる。印中国境の情勢は、インドにとって、中国がいかに信用できないか、証明し続けている。

チベットのダム。インドにとっては脅威となり得る(1970s/gettyimages)

 しかも、5月に起きた印パの衝突に際しては、パキスタン軍が使用した中国製戦闘機が「インド機を撃墜した」と、中国が声高に宣伝し、中国がパキスタンの支援者であることを強くアピールした。インドにとって中国は、中国そのものも脅威であるが、パキスタンを支援する国としても脅威になっている。

 つまり、25年は、インドにとって、不安定なアメリカ、頼りないロシア、信用できない中国という、不安だらけの情勢を証明した。経済成長が続き台頭するインド、というイメージとは裏腹に、インドは安全保障情勢に対する不安を募らせているのである。


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