運転距離が長い上に、米国では、燃費が良くない小型トラックとかSUVを好む人が多い。平均燃費は1リットルで6マイルとのデータもある。燃費が良い車が多い日本との比較で言えば、平均的な米国人ドライバーの燃料消費量は5、6倍くらいになる計算だ。
3月15日の米国平均のガソリン価格は円換算で1リットル当たり155円なので、米国のガソリン代は日本よりも安いが、米国の家計に大きなインパクトを与える。
ただし、この価格でも過去の高騰時よりは、まだ低い(図-1)。中国、インドで原油消費が急増した2008年には4ドルを超えたし、ロシアのウクライナ侵攻が引き起こしたエネルギー危機の際には5ドルを超えたこともある。
そうは言っても、ガロン当たり約3.7ドルとすると、年間のガソリン代は2200ドル、35万円を超える。ホルムズ危機で、負担額は年間7万円増えた。
インフレに不満を持つ有権者が多いので、トランプ大統領の支持率が伸びない。トランプ大統領は、原油価格引き下げ、肥料価格引き下げ、さらにはヘリウム調達など、かなりの圧力を受けている。米軍と同盟国の艦艇でホルムズ封鎖を解除できなければ、一方的に勝利宣言をし、終戦しても驚きはない。
ホルムズ危機を長引かせ、消費者がガソリン、肥料価格の値上がりに不満を抱く状況を長く続けることはできないのではないか。
なぜ日本の石油備蓄量は多いのか
石油の国家備蓄と民間備蓄の放出が始まった。日本の備蓄量は、他国との比較では多いが、見方を変えれば、それだけ中東依存度が高いということだ。
かつては、インドネシア、中国、ロシアなどからも輸入されていたことがあったが、新興国の国内需要増により輸出はなくなり、ロシアは制裁対象になり輸入できない。
日本の製油所も米国と同様、多くが中重質油の利用が想定されており、軽質油の米国のシェールオイルを大量に使用することも難しい。
欧州の一部の国は依然パイプライン経由でロシア産原油に依存しているが、同じくパイプラインで運ばれてくるカザフスタンからの輸入も急増している。米国がロシアに代わり輸入の2割を占めるようになっているし、地理的な関係もあり、旧植民地であった西、北アフリカからの輸入も多い(図-2)。
アジアの国は中東依存度が高いが、中国、インドは今ロシアにも多くを依存している(図-3)。日本は制裁を課しているので輸入できない。
結局、日本は地理的な問題、油種の問題もあり、なかなか中東依存から抜け出せなかった。では、ホルムズ危機は、米国と比較するとエネルギー価格にはどんな影響があるのだろうか。



