日本の電気料金とガソリン価格を考える
米国の発電量の43%を担う天然ガス火力、16%の石炭火力の燃料価格の上昇は今のところないので、米国の電気料金が急上昇する懸念は薄い。
日本の電力の3割強を担うLNG火力、3割弱を担う石炭火力の燃料は、国際市場の影響を受け上昇するので、燃料費調整制度がある大手電力の規制料金に限らず、ほとんどの電気料金は数カ月後に上昇する可能性が高い。
物価高対策として電気・ガス料金支援制度が今年3月の使用分まで導入されているが、制度を夏場の消費量上昇時に再導入することになるかもしれない。
補助金はガソリン価格にも使われる。乗用車の平均的な燃費が良い日本の年間のガソリン消費量は、平均519リットルとのデータがある。米国と同じで大都市では消費が少なく町村部では多くなる。
日本のガソリン価格は米国よりも高いが、仮にガソリン価格を政府目標の1リットル当たり170円とすると年間の支出額は約9万円。米国の4分の1程度だ。
家計には米国ほどのインパクトを与えないが、米国の世帯年収の中央値が8万4000ドル(約1340万円)。日本の中央値410万円の3倍以上あることを考えると、ガソリン価格が家計に与える実質的な影響は米国とあまり大きな差がない。
政府はガソリン価格を抑制するためまた補助を始めるが、なぜ暫定税率を廃止したにもかかわらず、ガソリン価格が過去最高になるほど高騰するのだろうか。
ホルムズ危機により原油価格が1バレル100ドルを超えると騒ぎになっているが、原油価格の推移(図-4)を見ると過去には月間平均が100ドルを超えた期間が約3年続いたこともある。
一方、ガソリン価格の推移をみると(図-5)、原油価格が月平均1バレル130ドルを超えた時に180円になったことが一度、さらに23年以降数度あるだけだ。
ガソリン価格が大きく上昇したのは、22年からの円安のためだ。過去原油価格が100ドルを超えていた時代でも、円が強かったため、ガソリン価格は今ほど高くはなった。
電気料金にも同様のことがいえる。図-4に示す豪州炭価格、図-6の日本向けLNG価格もエネルギー危機前よりは上昇したが、電気料金の上げ幅が大きくなったのは円安の影響もある。
補助金でガソリン価格、電気料金を下げることが、永遠にできるわけはない。結局、日本経済が強くなり、日本の市場が成長しない限り、円への需要は弱く円安が続く。エネルギー価格が上昇するたびに同じことを繰り返すことになる。
問題は、生産性をあげ経済成長を実現する方策だ。例えば、生成AIを利用すれば生産性は向上する。そのためにはデータセンターと電力供給が必要だ。
政府は、エネルギーと電力供給を強化する具体策を早急に実行し経済成長の基盤作りを進めなければ、補助金漬けは続く。
補助金も緊急に必要かもしれないが、経済強化策を作らなければ泥沼から抜けることが難しくなる。例えば、欧米が進める新型原子炉、小型モジュール炉の開発競争を早急に開始する制度など実体経済強化の具体策が一日も早く必要だ。



