2026年3月24日(火)

トランプ2.0

2026年3月24日

 「ワシントンポスト」は米国建国250周年に合わせて250本の桜の苗木を送るという日本側の計画に対し、トランプは「別の贈り物」を求めていると報じ、日本の首相が「綱渡り」状態にあるとした。「ニューヨークタイムズ」もNATO諸国がホルムズ海峡への艦船の派遣を拒否しているので、日本に対しては「掃海艇や海上部隊の派遣」を強く求めるだろうと予測した。

 ベッセント財務長官が首脳会談当日朝のFox系のテレビ番組で生放送のインタビューに応じ、「日本は90もしくは95%の原油をホルムズ海峡を通過して得ている」、「海上自衛隊は世界三大海軍の一つであり、世界最高水準の掃海艇と機雷探知能力を擁している」などと発言したことは日本側の警戒感を高めたであろう。

 日本の場合、紛争地域に自衛隊の艦船を派遣することは法的に難しかったが、そのような説明をトランプが受け入れてくれるかも不明だった。最悪の場合、米ウクライナ首脳会談の時のように、ホワイトハウスの執務室でテレビカメラを前に首脳同士が言い合いになり、それが世界に放送されるということにもなりかねない。トランプ大統領が艦船の派遣を直接求め、それに対して高市首相が日本は法律上出来ないと答え、納得してもらえない姿である。

 そのような「醜態」をさらすことになれば、もともと中国に対して日米の足並みがそろっていることを見せつけるために企画したはずの首脳会談が、逆の効果を生み出すことになりかねない。

日本人記者からの〝予想外の質問〟

 結局、会談において日本側が最も懸念した艦船派遣についての直接的求めは、少なくともカメラの前では行われず、日本側の自衛隊派遣についての法律上の問題点についてもひとまず理解を得られたようである。それにはやはり、トランプ政権も二期目に入り、外務省などを通じてのパイプ作りが功を奏してきたのかもしれない。

 また、ラトニック長官と何度も会談し、ホワイトハウスでトランプ大統領とも直接交渉した赤沢亮正経済産業相が同行したこともよかったのだろう。米国側の求めていることについての情報を得て、それに応じた経済的オファーを出せたと思われる。今回は、これまで見られた英語を一言も話そうとしない何を考えているかわからない日本人の集団ではなく、顔の見える日本外交団だったのではないだろうか。

 日本側が懸念していたことの一つに米国記者からの予想外の質問を受けるということがあった。米ウクライナ首脳会談ではゼレンスキーがホワイトハウスでの首脳会談にスーツを着用していないことを米国人記者が質問して挑発するような場面があったが、米国人記者は時に予想を超えた質問をすることがある。しかし、そのようにスムーズに進んだ会談において、日本側が身構える事態を生じさせたのは、日本側が警戒していた米国側の記者からの不規則質問ではなかった。

 今回そのような質問をしたのは、米国人記者ではなく、日本人記者であった。同盟国であるNATOの国々や日本に対してイラン攻撃をなぜ事前に知らせてくれなかったのか、日本人は困惑していると尋ねたのである。その時、トランプの頭の中には様々なことが駆け巡ったのではないだろうか。


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