2026年5月21日(木)

プーチンのロシア

2026年5月21日

強気一辺倒ではなくなった

 国際社会には、プーチン・ロシアは完膚なきまでに負けるべきだという考え方も根強くある。クレムリンで策定されたという今回のレポートが描くように、ロシアがいわば「勝ったフリ」をして、平時へとソフトランディングしていくというシナリオは、そういう立場の人たちには面白くないものだろう。それでも、ロシアがウクライナへの全面侵攻をさらに長期的に続けるという悪夢に比べれば、幾分かはマシではないか。

 問題は、プーチン大統領が「勝ったフリ」で我慢できるのか、そして平時へのソフトランディング・シナリオを実際に受け入れる用意があるかである。そこで、やはり戦勝記念日の5月9日にプーチンが行った記者会見での発言振りに注目してみたい。

 この中でプーチン大統領は、ウクライナ紛争の本質は、西側エリートのグローバリスト的潮流が、自らの地政学的目的のために、ウクライナの人々を利用してロシアと戦っている点にある点にあるとしている。しかし、プーチンは「この問題は終結に向かっていると思う」と述べる。

 プーチンによれば、「彼ら(西側の一部)はロシアの『壊滅的敗北』を期待していた。数カ月以内にロシア国家体制そのものが崩壊すると見込んでいたのである。しかし、そうはならなかった。そして今や、彼ら自身がこの轍にはまり込んでしまい、そこから抜け出すことができなくなっている。問題はそこにある。もっとも、向こうにも賢明な人々がいることは間違いない。また、現在起きている出来事の本質を理解している者たちも、もちろん存在する。私は、そのような政治勢力が徐々に権力へ復帰するか、あるいは欧州諸国の圧倒的多数の支持を受けて、自ら権力を掌握するようになることを期待している」。

 興味深いのは、ここでのプーチンのロジックが、前出のクレムリンで策定されたとされるレポートのそれと一脈通じていることである。つまり、ウクライナを使ってロシアを崩壊させようとする西側の一部による企図にもかかわらず、ロシアはそれに耐え抜いたということが最重視されており、これをもって「勝利」と位置付ける姿勢が見て取れるのだ。「ネオナチのゼレンスキー政権を排除する」といった現実離れしたお題目は、影を潜めている。

 果たして、プーチン氏もいよいよ現実を直視せざるをえなくなり、平時へのソフトランディングに舵を切り始めたのか? 過度な期待は禁物だが、プーチン氏の言動を注意深く観察はしていきたいと思う。

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