「MAGA」運動はそもそも、トランプ氏の旗振りでスタートしたもので、本来、諸外国での紛争や対立への関与をやめ、米国経済の再建、生活向上に資源を集中させるべきことを主眼としてきた。
その意味で、カールソン氏らの主張通り、米兵の犠牲者まで出し、ガソリン価格高騰など市民生活にまで影響が及び始めているトランプ大統領主導の対イラン作戦は、「MAGA」精神から逸脱していることは明白であり、それなりに説得力もある。
最近、各種世論調査で大統領の政策に対する支持率が30%台にまで下落し続けているのも、こうした共和党保守層の間に露呈し始めた亀裂と無関係ではない。
強まるネタニヤフへの批判
共和党保守派で、キリスト教プロテスタント「福音派」の信者たちの間では、イスラエル支持は依然として強固だ。
このこと自体、これまで一体となってトランプ政権を支えてきた同党保守派が、イスラエルとの関係を巡り、「MAGA」支持層と「福音派」宗教グループとに分裂しつあることを示している。
さらに注目されるのが、若者の間でのイスラエルに対する反発の動きだ。「Pew Research」調査によると、18~29歳の若年層の76%がイスラエルに対し、否定的見解を示していることが明らかになった。
党派別では、民主党系若者の「不支持」が85%と圧倒的に多いが、共和党系でも57%がイスラエルに反感を抱いている。若者の批判は、ガザ紛争におけるイスラエルの残虐行為と、対イラン作戦に集中しているという。
在米ユダヤ人の動向も見逃せない。米国には、760万人のユダヤ人が居住し、そのうち有権者は約580万人だが、政治意識が高く、大統領選や議会選挙の際の有権者の投票率も高いだけに、特に接戦州での選挙結果を左右することも少なくない。
先月の「AP通信―NORC研究」合同世論調査によると、そのユダヤ人の間でも、イスラエル支持をめぐり、高齢層と若年層の間で見解が分かれ始めており、高齢の在米ユダヤ人の約7割が「自分たちにとっての“祖国”でもあるイスラエル国家の安定こそ不可欠」と回答したのに対し、同様の立場をとる若年層は半数以下にとどまり、ガザ紛争や対イラン作戦などを理由にイスラエルへの批判を強めつつある。
上記のように、米国での対イスラエル不信は、民主党はもちろん、共和党支持者の各層にも広がりつつあるが、その矛先はイスラエル国家そのものというより、むしろ現在のネタニヤフ政権に向けられている点は注目すべきだ。
「Pew Research Center」の調査でも、米国民の59%がネタニヤフ氏について「首相として不適格」と回答、共和党有権者の間でも44%が不信感を抱き、「信頼」(45%)とほぼ拮抗していることが明らかになっている。その背景として、トランプ大統領が決断した米軍による大規模な対イラン作戦そのものが、ネタニヤフ首相による事前のごり押しと根回しで始まったとの見方が内外で広がっていることがあるとみられる。
