求人情報のアルバイトEXは、「エイプリルフール限定レアバイト」(http://arubaito-ex.jp/promotions/aprilfool2015)として「《急募!》47名大募集☆12/15のみ☆吉良邸討入りスタッフ」などのジョーク求人を掲載。前日に思いつき、制作期間は半日だったそうだが、ユーザーから「粋な計らいですね\(^o^)/」とファンレターが届いたほど好評だったという。
画像編集ソフト「フォトショップ」を発売するアドビは、「Adobe Photoshop REAL(アドビ フォトショップ リアル)」(http://blogs.adobe.com/photoshopjapan/2015/04/01/aprilfools_2015/)と題して、リアル消しゴムツール、リアルなげわツールなどを同梱したキットを制作した。約2カ月かけて8人のチームで制作したそう。リアルスポット修復ツールの機能は「ちょっとした心のキズであれば絆創膏型のスポット修復ツールによってゆっくりと時間をかけて癒してくれます」などと設定も細かい。筆者も、日頃フォトショップを使用しているためツボを突かれたネタだった。
ウェブ制作会社「面白法人カヤック」はエイプリルフールのために3つもネタを用意した。社員が子どものころについたウソを発表する「こどもウソ文集」(http://www.kayac.com/company/event/mission/2015/)、経歴詐称OKがうたい文句の「エイプリルフール採用」(http://www.kayac.com/news/2015/04/april_saiyou_2015)、そしてもう一つは多くのネットユーザーが釣られた「【超速報】今年も面白い!2015年エイプリルフールウソまとめ」(http://www.kayac.com/company/event/mission/2015/matome/)。NEVERまとめ風に各企業のエイプリルフールネタがまとめられているが、ページを最後までスクロールしてみるとまとめ自体がウソだったとネタばらしが。実際に制作したのはディレクター、デザイナー、エンジニア合わせて6人ほどだと言うが、社内の多くのメンバーがブレストやアイディア出しで関わったという。
「楽しいからやってみた」が許されるネット文化
各社にアンケートを取ってみたところ、コストが掛からなくてもファンサービスにつながるパターンと、数カ月じっくりコストを掛けて、自社のサービスにうまくつなげるパターンがあることが分かった。ただ、どちらも一歩間違えれば寒いジョークになってしまうことを考えると、勇気ある決断だ。その決断を下した理由は何なのだろうか。
カヤックの企画部に、エイプリルフールに乗っかった理由を聞くと、「乗っからないより、乗っかった方が面白いからです。たとえ誰にも望まれていなくても、ネタが尽きそうになっても毎年、懲りずにウソをつき続けることに意味があると思っています」と回答をいただいた。
サンクトガーレンの取締役・広報の中川美希さんは「最初は面白そうだと思って2010年に一度きりのつもりで参加してみたら、毎年楽しみにして下さるお客様が増えてやめられなくなってしまいました」と答えた。アドビ広報部も「フォトショップが発売されて25周年という記念で、ユーザーのみなさまに楽しんでもらえるようなプロジェクトとして実施した」という。集英社の第3編集部少年ジャンプ編集部は、ひと言「お祭りに参加したかったので」とのこと。
各社のエイプリルフールネタはネット上で話題になり、自社サービスや自社自体のプロモーションにつながったと思う。ただ、それだけではない「楽しいからやる」という精神も大いに伝わってくる。ネット独自の文化として、今後もエイプリルフールネタを楽しみにしたい。
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