私の結論はこうだ
今回のルワンダにおける鉱業セミナーではかなりの手ごたえを感じた。これまで、欧米も中国もルワンダやDRCコンゴの鉱山経営者たちとのセミナーは実行したことがないので、日本(AMJ)の鉱業セミナーは大変に勉強になったとの反響があったからだ。ルワンダでは手掘りの鉱山も多く、中小企業の鉱山主が採掘権を政府から得て少量のコンフリクトミネラル(紛争鉱物)を選鉱しているに過ぎない。コンプトワールという仲買人に販売して資金力のある欧米系の輸出業者が買い占めるという構造になっている為にルワンダ人の産業資本は資金不足でいつまで経っても利益が蓄積できないのだ。ルワンダに必要な事は流通革命である。
産業インフラや物流インフラの整備もこれからである。日本企業が協力するべき部分は支援の出し惜しみをせず、一気通貫で合理的な流通経路を整備してあげる事である。セミナー終了後に簡単な立食パーティーを行ったが、今回招待した経営者が一様に期待しているのはつなぎ資金の供与である。ルワンダは他のアフリカ諸国と比べるとビジネス環境は整っている方だが、残念ながら金融資本の合理的運営にはまだ時間がかかっているようだ。要するに制度金融が整備されていないので起業家が育たないのだ。日本政府の制度金融や信用保険制度を利用すればこの問題はブレークスルー出来ると直感している。日本の若い起業家に負けないで、われわれ民間企業も知恵を使って合理的にアフリカ開発を推進する方法は幾らでもあると思う。
「ABEイニシアティブ」とは何だ?
鉱業セミナーと夕食会の席上で三原団長から、日本型の支援制度である「安倍イニシアティブ」の話題が紹介された。「安倍イニティアティブ」とは2013年の第5回アフリカ開発会議(TICADV)で「アフリカの若者のための産業人材育成制度」のことである。JICAを通じて5年間で1000人のアフリカの若者を日本の大学や大学院の教育の機会を与え、更に日本企業のインターンシップの機会を提供するものである。2014年9月からすでに始まっている制度で昨年のルワンダ大使館主催のパーティーでもIT系の研究生が来日していたので着実に効果は上がっていると思っている。
なにも日本人が中国人と対抗心を燃やす必要はない。日本は日本流の交流を進めて行けば良いのである。別の見方をすれば、中国と日本がタッグチームを組んで一緒にアフリカ支援をすれば更に効果は上がるのではないかと考えている。日本は日本の良いところを発揮し、中国は中国の得意分野を生かして行けばよいだけの話なのである。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。