2024年11月23日(土)

地域再生のキーワード

2017年5月14日

青のりパウダー(右)、乾燥青のり(中央)、コンフィ(左)

 こうして生まれたのが、むろっとの人気商品になった「コンフィ」だ。地域のお母さんたちがさばいたソウダガツオを海洋深層水につけ込んで、ほどよい塩味をつける。さらに米油を加えて真空梱包した後、加熱するのだ。そうすることでうまみが凝縮されている。冷蔵して出荷したものを、レストランや家庭で、パスタやサラダなどの具として便利に使える。酒のツマミとしても最高だ。

 もちろん、青のりの加工品も看板商品である。青のりは四万十川の河口産が有名だが、水温の上昇や水質の悪化で生産量が激減。最盛期の1980年代には年間62トンだった収穫量が今は2トンになっている。逆に青のりの価格は上昇した。今では1キロ1万円という高値が付く。蜂谷さんの養殖ビジネスが成り立つのは、価格が高いからでもある。

 副産品として養殖しているアワビやトコブシも小売り段階での価格が高い。一方で室戸のトコブシは1999年に32トン獲れていたものが、今は8トン。養殖する価値があるわけだ。ただ、青のりの養殖が主力事業であるため、「うちの事業としては、ボーナスのような位置づけです」と蜂谷さんは語る。

前田和子さん(左)と蜂谷さん

 蜂谷さんの起業によって室戸にも少しずつ仕事が生まれている。うみ路ではパートを含む10人を雇用している。また、市の施設である「室戸世界ジオパークセンター」にあるカフェ「ジオカフェ」と土産物店「ジオショップ」の運営を受託した。もちろん、うみ路のオリジナル商品も販売しているが、最近は人気で品切れ気味。安定した商品供給が課題になっているほどだ。


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