手取り足取り教えられて指示されて、結果として出来ても、その間の本人が自分の意思なく言われるがままに動いているにすぎなければ、自分への信頼にはつながらないからです。
自分が現にできているんだ、もう一度やれるんだというイメージがわいてこないからです。
時間の都合で、どうしても親がリードして進めなくてはならない時、上司が事細かに指示を出してとにかくやりあげさせなければならない時もあるでしょう。そのこと自体は問題ありません。
ただ、結果として出来たからといって、本人が自信を持つとは限らないということを頭に入れておく必要はあります。
もし少しの時間が取れるなら、リードしてやり遂げさせた後に、なぜ今自分は出来たのか、いまどのようにして自分は上手くいったのかを、本人に振り返らせてあげるといいですね。
取り組んでいる最中は言われるままに必死に行動していて、自分の意思や選択が働いていなかったとしても、改めて自分自身の姿を振り返りながら、自分の出来ているところを再発見していくことで、「自分にはそんな力があるんだな」と認識することはできます。
そして本人が自分を再認識したところで、「次同じことをやるとしたら、どのあたりは自分でできそうかな?」と、本人の「できそうな予感」を問いかけます。
「自分でやるなら・・・そうですね~~は出来ますし、あと・・・」と考える段階に入った時点で、「やらされた行動」が「自分でやる行動」に入れ替わるのです。
何をするかを自分で選べるように、自分で決められるように、「どのあたりは自分でできそう?」と問いかけるわけです。
選ぶ経験が自信を育ててくれる
自分で選択する体験、自分で決定する体験の積み重ねは自信を強化してくれます。
保護者の学習カウンセリングを行っていると、やることが多すぎて子どもに任せていられない気持ちになると、つい「まず~~しなさい、それが終わったら次は○○しなさい。いいから早くやりなさい!」と行動の指示を次々に投げてしまっている親御さんは本当に多いものです。
完了させることを重視する人、間に合わないことへの恐怖心が強い人ほど、わが子に指示を出しがちです。
本当は指示でがんじがらめにはしたくないと思いつつも、日々のタスクと時間の締め切りに追われて、「他に手がない」という思いで指示を重ねています。
でも同じ急かせる場合でも、選択する力を伸ばすことはできます。