INTELLIGENCE MIND

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2023/11/23 小谷 賢
世界のインテリジェンス強国を挙げよ、という議論になると、必ず名前が挙がるのが『007』の母国、英国だ。ただ英国が一貫してインテリジェンスに強かったわけではなく、そこには試行錯誤の歴史があった。
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2023/10/28 小谷 賢
前回、米国が日本の外交暗号を解読していたことに触れたが、日本側も一方的に暗号を解読されていたわけではない。日本陸海軍、そして外務省の暗号解読組織も、欧米諸国の使用していた外交・軍事暗号を傍受、解読していたのである。
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2023/10/08 小谷 賢
第一次世界大戦後の1920年代、米国の暗号解読組織は、英国が既にやっていたように、日本の外交暗号を解読し始めていた。この組織はハーバート・ヤードレーという国務省の暗号解読官を中心としており、通称「アメリカン・ブラックチェンバー(黒い部屋)…
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2023/09/04 小谷 賢
20世紀初頭、英独間で熾烈な建艦競争が生じた。ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は海軍力の増強によって英国に追いつくことを公言し、対する英国も追いつかれまいと戦艦を建造し続け、当時の英国民を不安に陥れた。
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2023/07/22 小谷 賢
日露戦争の海戦としては、1905年5月の日本海海戦がよく知られている。従来は東郷平八郎・連合艦隊司令長官による丁字戦法が功を奏したとされてきたが、むしろ難しかったのは日本海軍がウラジオストクに向かうロシアのバルチック艦隊の航路を予測し、こ…
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2023/06/24 小谷 賢
現在のロシアでは、ウクライナへの侵攻を支持する国民の割合が半数を大きく上回っているという。しかし若年層になるほど、戦争に無関心、もしくは忌避感を示す傾向があり、今後、ロシア兵の戦死者がさらに増加し、本国に送還されると、ロシア国内で反戦の機…
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2023/05/21 小谷 賢
現在の日本政府のインテリジェンスは、諸外国と比較するとそれほど本格的なものとは映らない。そのためインテリジェンスの機能強化が叫ばれて久しいが、これに対する反対意見として必ず挙げられるのは「日本人は農耕民族なので、インテリジェンスのような世…
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2023/04/26 小谷 賢
19世紀初頭のナポレオン戦争後しばらくの間、平和な時期が続いたが、後半以降は多くの戦争が勃発する。特に1853年のクリミア戦争と61年の米国南北戦争はかなり規模が大きく、長期間の戦いとなった。これらの戦争においては、当時の最新技術である電…
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2023/03/27 小谷 賢
人類の歴史において、情報を速く、安全に、遠くへ伝えるのは苦難の連続であった。特に戦場の最前線の情報を司令部に通知することや、外国からの情報をいち早く入手するためにさまざまな工夫がなされたが、その過程で伝達が遅れたり、敵に情報が漏れる、とい…
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2023/03/02 小谷 賢
マルクスの共産主義革命は実現しなかった。その背景には、欧州各国で 世紀に秘密警察が組織され、常に革命の芽を監視し、必要があれば弾圧していたことも大きい。
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2023/01/26 小谷 賢
ナポレオン・ボナパルトは、その軍事的才覚によって19世紀初頭のヨーロッパを席巻して巨大な帝国を築き上げ、一介の軍人から皇帝に上りつめた。その手法は、「国民皆兵制度」による国民軍の創設や、砲兵・兵站の重視など枚挙にいとまがないが、意外なこと…
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2022/12/28 小谷 賢
1997年に米中央情報庁(CIA)は、米国の「インテリジェンスの父」として、3人─ジョージ・ワシントン、ジョン・ジェイ、ベンジャミン・フランクリン─の名前を挙げている。いずれも米国の建国に貢献した偉大な政治家だ。しかし、崇高な理念だけでは…
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インテリジェンス・マインド
2022/12/01 小谷 賢16世紀のエリザベス1世の時代は、イングランドが内憂外患に直面した時代であった。女王はこれら苦難を克服し、後にイングランドの黄金期と呼ばれる時代を築き上げたのである。そして陰で女王を支え続けたのが、宰相フランシス・ウォルシンガムであった。
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インテリジェンス・マインド
2022/10/30 小谷 賢中世・ルネサンス期には、活版印刷の発明によって、情報革命ともいうべき現象が生じた。この時代には世の中のあらゆる知識や事象が文字に記され、ヨーロッパ中に広まったのである。
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インテリジェンス・マインド
2022/09/26 小谷 賢前回の本連載で取り上げた古代ギリシャに引き続き、古代ローマも組織としてインテリジェンスを運用するには至らなかったものの、戦争に明け暮れていたローマは、軍事的な情報を収集・活用する必要があった。それを最も効果的に実施したのが、かのガイウス・…
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インテリジェンス・マインド
2022/09/04 小谷 賢これまでは各国のインテリジェンス組織について概観してきた。今号からは古今東西のインテリジェンスの歴史について論じていきたい。スパイによる情報活動は相当古くから行われており、スパイは人類で最古の職業の一つに数えられることもある。
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インテリジェンス・マインド
2022/08/02 小谷 賢前回は、ウクライナでの戦争における欧米諸国の偽情報対策を扱った。今回はこの戦争における民間の役割である。最近よく名前が挙がるのは民間の調査団体・英「ベリングキャット」だが、その名が知られるようになったのは、2014年7月17日に発生したマ…
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インテリジェンス・マインド
2022/06/28 小谷 賢2月24日、大方の予想を裏切ってロシア軍はウクライナに侵攻したが、その後、さらに予想を裏切り、ロシア側の苦戦が続いている。この要因は、ウクライナの抗戦能力の軽視や情勢判断の甘さに由来するロシア軍の準備不足、欧米の対ウクライナ軍事支援と対ロ…
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2022/05/20 小谷 賢
第二次安倍晋三政権では日本のインテリジェンス分野での改革が大きく進んだ。その原点は、2008年2月14日に内閣情報調査室が発表した報告書「官邸における情報機能の強化の方針」にある。これには日本のインテリジェンスについて改善すべき点が多々列…
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インテリジェンス・マインド
2022/04/25 小谷 賢冷戦の終結によって、それまで西側諸国が仮想敵としていたソ連をはじめとする東欧圏は軒並み総崩れとなり、欧米におけるインテリジェンスの役割は一時的に低下した。しかし、1990年代には日本国内で阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件、海外では湾岸戦争…
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