2024年7月16日(火)

World Energy Watch

2020年5月19日

温暖化問題への取り組みを強化する欧州企業

 今年2月就任したBPルーニーCEOは、就任直後2050年までにBPの排出する温室効果ガスの純排出量をゼロにする野心的計画と達成のための組織変更を発表した。現在BPが操業に伴い排出している温室効果ガス(二酸化炭素換算5500万トン/年)に加え、同社の生産物の排出量3億6000万トンもゼロにする野心的な計画だ。ただ、具体策は2023年までに石油、天然ガス生産に伴い排出されるメタンの量を半減することしか織り込まれておらず、詳細は今年後半に発表されることになっている。

 4月シェルも同様の計画を発表した。自社の操業からの二酸化炭素排出量を遅くとも2050年までにゼロにすることに加え、販売する製品からの二酸化炭素排出量を、2035年までに30% 、50年までに65%削減することを目標とし、再生可能エネルギーによる発電、水素、バイオ燃料に注力することが謳われた。

 第1四半期の決算発表時、BPは今年の投資予定額の4分の1、120億ドルの削減を発表したが、再エネ予算はそのままにすると発表した。ただ、予算額は5億ドルに過ぎず、予算の大半は、依然石油、天然ガス採掘に支出されている。シェルも今年の投資予定額250億ドルを20%、50億ドル、削減すると発表した。削減額の4分の1は、ガス・新エネルギー部門で実行されるが、ファン・ブールデンCEOは新エネルギー関係予算の大部分は維持されるとしている。

 BP、シェルともに、化石燃料から、再エネも柱にするように業態を変え、温暖化対策を進めようとしている。新型コロナによる石油需要低迷が動きに拍車をかけることになりそうだが、再エネへのシフトが進むと、徐々に雇用面で問題がでてくることになる。


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