2022年12月8日(木)

World Energy Watch

2020年9月29日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

これからどうなる世界と日本の原発、経験と新技術

 最近完工した世界の原発のリストは表-2の通りだ。欧州では原発の工費、工期の増大が言われているが、リストに記載されている工事に大きな遅れはなかった。リストの事業を手掛けているのは、ロシア、中国、韓国企業だ。欧州の原発建設工事で工期の遅れを出しているEDFと何が異なるのだろうか。

 EDFが手掛けているフィンランド・オルキルオト3号機の工事が当初遅れた時には、EPRが新型炉であるためと言われていたが、中国で建設されたEPRは遅れもなく完成した。EDFがロシア企業などと一番異なる点は、工事を継続して行っているかどうかだろう。中国もロシアも韓国も自国を含め原発の建設が続いている。原発新設が長く停滞した欧米諸国とは、工事の経験が異なっている。

 日本でもかつては建設が続いていたが、福島第一原発の事故により新設が止まってしまった。再稼働にも時間が掛かっており、現場の知見も失われつつあるだろう。建設中断の期間が長くなると工事経験を失うことになる。原発抜きで温暖化対策を進めることは難しいと国際エネルギー機関は見ている。温暖化対策上今後も新設が必要な中で日本も現場を含め技術の維持が必要だ。

 米国を初め世界の多くの国では、いま小型炉(SMR)の検討が進んでいる。工費が安く、工期が短く、例えば電源喪失時に自然対流で冷却が可能になるなど安全性に優れているからだ。米原子力規制委員会の審査が最も進んでいるのはニュースケールパワーのSMRだが、既に幾つかの国が自国での建設に関心を表明している。ビル・ゲイツが出資し会長を務めるテラパワー社の新型炉も2020年代には実用化を目指しているが、GE日立との共同開発がなされるとの報道が最近あった。これから世界の原発はSMRが中心になる可能性が高いが、日本企業が持つ技術を活かし貢献できる分野の一つだ。

  
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