2022年11月30日(水)

WEDGE REPORT

2020年10月7日

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 全国よりも早く感染が拡大した北海道札幌市。同市では、発熱や咳といった「コロナ疑い」の症状を持つ患者の救急搬送を病院が受け入れないケースも出ている。同市消防局救急課によると、北海道内で感染「第二波」が起きていた5月上旬に、救急患者の搬送先について4カ所以上の病院に断られ、受け入れ先が決まるまでに30分以上かかるケースが昨年の2倍以上の90件もあった。これは、新型コロナの陽性者の受け入れを除いた数であり、病院側が「検査結果の出ていない隠れ感染者」の受け入れを懸念したとみられる。季節性インフルエンザ疑いの患者では起こり得ないことだ。なお、感染拡大がおさまりつつある8月下旬でも、受け入れ拒否が多い状況は続いている。

重症患者対応に
集中できる体制整備が急務

 今後、重症化しやすいハイリスク患者の新型コロナ感染を防ぎながら、医療現場の負担をどう抑えていけばいいのか。

 重症の新型コロナ患者を受け入れる北海道医療センター(札幌市)救急科の佐藤智洋医師は「新型コロナの重症化率は低いので、他のインフルエンザなどウイルス性の感染症と同じように、重症患者のみに集中して対応できるようになることが望ましい」と話す。

 医療現場からは「感染症法の2類相当から外すこと」を求める声が多い。新型コロナは「指定感染症」として、SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザといった2類感染症と同じように、陽性者に入院勧告や就業制限することになっている。そうした対応が医療現場の負担を重くさせており、現場の声を反映した対応が求められる。

 冬になれば、コロナ以外の患者も増えることも懸念される。その中で、PCR検査が必要となる患者を減らすために、高熱や重症化を引き起こす他の病気の患者を減らす対策も求められる。千葉市は冬に向けて、インフルエンザ予防接種費用を生後6カ月以上の全市民を対象に助成、高齢者が引き起こしがちな肺炎球菌のワクチンを65歳以上でこれまで摂取したことのない人に助成する。「発熱患者を1人でも減らし、医療負担軽減を図りたい」と担当者は語る。こうした対策が全国に広がることを期待したい。

 日本の国民皆保険制度による医療アクセスの良さは、軽症患者でも気軽に病院にかかれてしまうといった指摘があるものの、医療体制や水準とともに世界に誇れるものである。それを支えているのは「目の前の患者を救いたい」一心で働き続けている医療従事者だ。その労苦に報いるためにも、彼らの過度な「負担」を減らす必要がある。

「コロナ疑い」患者が押し寄せることで本来救える命が救えなくなることは何としても避けたい。現場では病床数では語れないリスクが常にある。医療現場を守れるかどうかは、日々の感染対策を徹底することも含め、我々一人一人の行動にかかっている。

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新型コロナ  こうすれば共存できる
Part 1  ・新型コロナは〝ただの風邪〟ではない でも、恐れすぎる必要もない
           ・正しく学んで正しく恐れよう! 新型コロナ情報を読むレッスン
           ・医療現場のコロナ対応は改善傾向 それでも残る多くの〝負担〟
Part 2  ・「してはいけない」はもうやめよう 今こそ連帯促す発信を
           ・コロナショック克服へ 経済活動再開に向けた3つのステップとは
           ・なぜ食い違う? 政府と首長の主張
           ・動き始めた事業者たち 社会に「価値」をもたらす科学の使い方   
Part 3    煽る報道、翻弄される国民 科学報道先進国・英国に学べ  
Part 4    タガが外れた10万円給付 財政依存から脱却し、試行錯誤を許容する社会へ    
Part 5    国内の「分断」を防ぎ日本は進化のための〝脱皮〟を

  
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◆Wedge2020年10月号より

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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