バイデン・ブリンケンの対中外交
トランプ大統領は選挙期間中、米中経済の「デカップリング(切り離し)」の可能性について言及しました。これに対してブリンケン氏は、「中国との完全なデカップリングは非現実的」という立場をとっています。
選挙期間中のバイデン氏の発言を含めて、ブリンケン氏の対中外交を考えてみると、新型コロナウイルス対応及び地球温暖化防止で、中国と交渉して協調していく公算が高いといえます。
ただし、ブリンケン氏は知的財産権侵害並びに海洋進出については強硬姿勢をとるに違いありません。というのは、バイデン氏は10月22日に行われた2回目のトランプ氏とのテレビ討論会で、知的財産権と南シナ海の問題を自ら取り挙げて、「中国は国際ルールを守っていない」と強く非難したからです。
一方、ブリンケン氏は貿易問題では、トランプ大統領と中国との追加関税の掛け合いが、米国内の農家と製造業に打撃を与えたと指摘しています。そこで、まず中国に国際貿易のルールを厳守させます。次に必要であるならば、戦略と計画に基づた関税を中国製品に掛けると、同氏は述べています。裏返せば、トランプ大統領の追加関税は場当たり的であったといいたのです。
では、ブリンケン氏は中国の人権問題に対してどのような姿勢で臨むのでしょうか。同氏のポーランド生まれの継父はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者です。同氏はアウシュビッツなどの強制収容施設で4年間、生活を送った継父の影響を受けてます。
シリアのアサド政権が2013年、子供を含めた市民に向けて化学兵器を使用したとき、ブリンケン氏は軍事攻撃を強く主張しました。人権問題として捉えたからです。
おそらく、ブリンケン氏は中国の少数民族ウイグル族の強制収容施設と人権問題についてトランプ政権よりも厳しく追及するでしょう。
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