2024年7月14日(日)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年3月26日

日本が置き忘れてきたもの

 余談ですが、筆者は小中高校で人権問題について十分な教育を受けた記憶がありません。高度経済成長を経験していますが、言うまでもなく人権や人格よりも会社への忠誠心が問われ、日本は経済最優先で突き進んできました。その結果、何か置き忘れてきたものがありました。おそらくそれが人権なのでしょう。日本はバイデン政権とチームで中国に対抗する際、人権に対する意識の低さを露呈してしまうかもしれません。

 「人権の価値」を共通項にして同盟国・友好国との結束を図り、中国問題に対抗する戦略にバイデン政権は出ました。早速ブリンケン氏は3月23日、自身のツイッターに中国政府が新疆ウイルグ自治区の少数民族に対する人権侵害を続けているとして、「グローバル・マグニツキー人権問責法(Global Magnitsky Human Rights Accountability Act)」に基づき2人の中国当局者に制裁を発動すると投稿しました。そのうえで、「米国は英国、カナダ、欧州連合(EU)と連携して人権侵害をした人々に責任を負わせる」とつぶやきました。

 これらの国々には人権侵害制裁法が存在します。マグニツキー法はロシア人税理士セルゲイ・マグニツキー氏が08年、税務当局と法執行機関が2億3000万ドルもの税金還付を横領したとして告発しました。すると今度は、マグニツキー氏が脱税を手助けしたとして逮捕され、拘留中に暴力を受けて09年に獄死しました。その後、米国、カナダ、英国及びEUで人権侵害制裁法が法制化されました。

 日本には日本版マグニツキー法の採用の動きがありますが、まだ存在しません。つまり、人権侵害を続ける中国や他国に対して、バイデン政権とチームアプローチができない訳です。

 対中政策において、日本は人権と経済の優先順位を見直す時期がきているのかもしれません。

  
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