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2021年6月22日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

関係改善の材料になりえたが

 それから半世紀以上を経て、現在の米国と、ソ連の後身であるロシアの関係もまた「近年、最も低いポイント」(プーチン大統領)といわれるほど冷え込んでいる。

 ロシアによる米政府、企業へのサイバー攻撃、米大統領選への不法介入、ロシアの人権抑圧などに米国が強く反発していることが原因であり、両国がそれぞれ大使を召還する事態にまでエスカレートしている。

 今回の首脳会談で、軍備管理でのあらたな協議開始、大使の相互帰任などで合意、一定の成果を見たが、これに加え、スパイ交換という伝統的な和解策が功を奏していれば、関係改善をさらに促進する材料にはなったろう。

〝美しすぎるスパイ〟も暗躍

  スパイの相互釈放は、過去、ほかのケースでも時に応じて用いられてきた。

 2010年6月、米露双方が摘発した〝スパイ団〟がそれぞれ釈放されたのは、記憶に新しい。

 この事件ではアメリカの連邦捜査局(FBI)が、10年越しの捜査で米国内で活動していたロシアのスパイ10人を摘発。ニューヨークの裁判所で有罪判決を受けた10人は、国外追放となったが、このなかには「美しすぎるスパイ」として日本でも話題になったアンナ・チャップマンさんも含まれていた。

 ロシア対外情報庁に所属するチャップマンさんは、ニューヨーク・マンハッタンで不動産会社、ベンチャー企業の社長を〝表の顔〟として、裏ではアメリカの核開発に関する情報を収集していた。

 この時は、アメリカの国外追放という決定を受けて、ロシアも、アメリカに協力していた旧軍人など4人を米側に引き渡した。

 双方の工作員らは翌月、それぞれの特別機でウィーンに向かい、未明の空港で、スリリングな交換の〝セレモニー〟が行われるというおまけがついた。

 米側から釈放されたチャップマンさんはロシアに帰国後、テレビ司会者などとして活躍、人気を集めた。

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