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World Energy Watch

2021年11月22日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 日本も再エネと原子力によるCO2削減の道筋を立てているが、英国と大きく異なるのは、発電コストが高いことと原子力発電比率の実現可能性が見えないことだ。

それでも日本は風力発電を進めるのか

 日本の第6次エネルギー計画では、図-6の通り、30年再生可能エネルギーにより36%から38%の電力を供給する計画だ。太陽光は今の2倍、風力は今の5倍の供給量になる。洋上風力の目標設備量は1000万㌔ワットだ。

 英国ほどの導入量ではないが、洋上風力が大きな役割を担う計画だ。ただ、海岸線が遠浅の英国では着床式が主体だが、日本ではコストが高い浮体式が主体になる。さらに、英国北海と日本では風量が異なる。北海では利用率50%超えもあるが、日本では30%台だ。

 日本の洋上風力の発電コストは、英国をはじめ北海、バルト海を利用する欧州の国より明らかに劣ることがはっきりしている。要は、同じ洋上風力を進めれば日本の発電コストは欧州主要国より高くなり、産業の競争力は大きな影響を受けることになる。洋上風力設備も太陽光パネルと同様、競争力のある中国製が日本市場を席捲する可能性も高い。

 エネルギー基本計画で20%から22%と想定されている原子力発電についても不透明感が高い。再稼働が行われたとしても、設備の新設、更新がなければ、この数字を達成することは困難だ。

具体的な道筋が明らかになっていない日本

 中国資本の原発参加という問題に直面した英国は、自国開発のSMRに活路を見出し、脱炭素を実現しようとしている。日本では、計画を実現する具体的な道筋が明らかではない。絵に描いた餅で終わればまだしも、30年46%削減を実現するためコストが高い政策を進めれば、国民と産業はますます苦しくなる。

 COP26の結果を受け、先進国は、さらに目標を高めることを迫られる可能性もある。日本はこれから苦難の10年を歩み、歩み終わった後の生活はさらに苦しくなっているだろう。脱炭素の具体的な道筋を真剣に検討しなければ、目標が高くなる環境下で困難が増すばかりだ。

  
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