プラザ合意をきっかけにした円高と水産物輸入の歴史
歴史を振り返ると、水産物の輸入が大幅増加した主要因の一つが円高でした。下のグラフをご覧ください。きっかけが1985年のプラザ合意でした。各国の外国為替市場への協調介入により、ドル高是正と米国の貿易赤字削減を意図したものです。
発表後1日の間に円相場は1ドル235円から約20円下落。翌年には150円台になり、円高ドル安という目的が達成されました。
偶然にも85年前後は、日本の漁獲量が1200万トンから現在の400万トンと3分の1に激減を始める時期でした。このため円高は水産物輸入に好都合でした。
国産魚と入れ替った輸入魚、そして消えて行く
プラザ合意後の円高は、買付にとって強力なフォローの風となりました。当時ユーロは存在せず、支払いに使用される通貨は、米ドル主体でした。また世界の水産物需要はまだ大きくなかったので、買付はまさに日本企業の独壇場。カニ、エビ、サケを始め、まず日本が良いものを必要量買付けて、残りは他国に輸出というパターンでした。
もともと、世界の海で自国漁船で漁獲していた日本。それが1977年に設定された200海里漁業専管水域の設定により、世界の海から閉め出されました。
プラザ合意により円高に切り替わるタイミングは、自国漁業から、日本漁船を使ったジョイントベンチャーや、買付に切り替わっている時期でした。そして日本は、世界最大の漁業国(72~88年)から世界最大の水産物輸入へと切り替わって行きました。
しかしながら、上のグラフでお分かりになるように2013年に米国・19年には中国にも追い抜かれています(EUを除く)。今では日本独壇場の面影は無く、品質などの要求水準は高いが、その割に買付価格が安い存在となり、輸出国の日本離れが進んでいます。