2022年10月7日(金)

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2022年9月20日

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岸良裕司 (きしら・ゆうじ)

ゴールドラットジャパンCEO

1959年生まれ。京セラなどでの勤務を経て2008年より現職。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints:制約理論)を用い多くの産業界、行政改革で目覚ましい成果をあげ、グローバルに活動するトップエキスパート。東京大学ものづくり経営研究センター非常勤講師。著書に『全体最適の問題解決入門』、『優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか?』(以上、ダイヤモンド社)など多数。

日本人だけが
日本を悲観している?

──今の日本企業にはゴールドラット博士が評価した当時ほどの勢いはなく、悲観的な見方が強い。

岸良 私は、多くの巨大プラットフォーム企業を抱える米国や世界一の起業大国イスラエルなど、世界中を飛び回り多くの海外要人や企業経営者と話す。だが、その中で「日本企業は衰退している」「日本はイノベーションで大きく遅れている」という言葉を耳にしたことは一度もない。むしろ、「日本企業は頼みの綱」「日本企業から学びたい」という声を聞くことがほとんどだ。

 事実、われわれの日常を支える海外ブランドのスマホなども日本の最先端技術が詰め込まれた部品や材料がなければ成り立たない。そうした最先端技術を持つ日本企業を自国に誘致しようと各国は必死であり、日本は「テクノロジー大国」として認知されているのが現実なのである。

 「ソフト面では後塵を拝している」という見方もあるが、その代表的な産業であるゲームやアニメ、マンガなどのコンテンツ分野では、世界に自由な発想を与え続け、人気を博しているものも多い。逆に「クールなものは日本発信のものが多い」という認識の外国人は多く、日本に対する関心は高まっているとさえ感じる。

 たしかに特定の分野の強みだけで日本全体を活気づけることは難しいかもしれない。だが、重要なことは、こうしたクリエイティブな分野で日本が世界から注目されているという事実だ。クリエイティビティーは時代の潮流を先読みし、新たな領域の開拓に不可欠だからである。そして、優れた才能を持つ人財がこうしたクリエイティブな分野に集まり、次々に素晴らしい作品を生んでいることを日本人としてもっと誇りに思ってもいいはずだ。

 世界地図の東の端(極東)にあり、世界の陸地のたった0.28%しかない日本だが、日本企業のブランドは世界のどこに行っても見かけられる。それは海外に出かけたことがある方ならば誰しもご存じであろう。自動車や家電だけが日本ブランドの代名詞ではない。アパレルのユニクロ、コンビニのセブンイレブン、前述したゲームやアニメなど日本のブランドは世界中にあふれ、各国から羨望のまなざしを受けている。こうした現実をあえて見ようとしないのは理解に苦しむ。

 日本企業の時価総額の順位など、細かな指標ごとに過去と比較をすれば数値が落ち込んだ部分もあるだろうが、少なくとも「海外における日本の評価」という点では、そうした悲観的すぎる見方は私の実感とは乖離がある。そこまで日本を悲観しているのは日本人だけなのではないか、とすら感じる。

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