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World Energy Watch

2022年9月16日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 渇水により周辺国で発電量が低下し、南部において電力輸入ができない事態もありえると考えてのことだろう。運転再開に必要な時間は1週間程度とされている。

 原発を動かせば、発電用化石燃料は不要になり、高騰する化石燃料市場には助けになる筈だが、緑の党の大臣たちはそれを認めない。1980年に設立された緑の党は、反原発運動を源流としており脱原発を目的とする党だ。脱原発政策を放棄すれば党の存続を左右する事態になると大臣たちは考えたのだろう。だが、周辺国を含め世界は大きな迷惑を受ける。

周辺国はどれだけの迷惑を受けるのか

 ドイツでは2011年に17基あった原発の閉鎖が進み、現在稼働している3基の設備容量は合計約400万キロワット(kW)。今年1月から9月14日までの発電量は230億キロワット時(kWh)、全発電量に占めるシェアは6.6%(図-3)。

 仮にドイツが来年1年間原発の継続利用を行うと、年間の発電量は325億kWhになる。この発電をLNGで代替すると必要な量は、430万トン。輸入石炭で代替すると1030万トン必要になる。

 ドイツは既に、天然ガス貯蔵設備のフル能力の89%まで備蓄を積み上げている。年間消費量の2.4カ月分に相当する。冬場の需要量は大きく増えるものの、LNGの輸入も年末から始まり供給面での不安は小さい。しかし、脱原発の結果、ドイツは化石燃料を追加で購入することとなり、需給関係を悪化させ、さらなる価格上昇を引き起こすことになる。

 ドイツは電力の純輸出国だが、主として風力、太陽光の再生可能エネルギーによる発電量を消費できない時に周辺国に輸出し(周辺国でも需要がない時には出力を制御している)、再エネからの発電が不足する時に輸入を行っており、いつも電気を輸出できる状態ではない。脱原発により、周辺国からの電力輸入も増えることになるが、その発電を化石燃料で行う国もでてくるだろう。

 原発継続利用による天然ガスの節約量は、ドイツ国内よりも国外で大きくなるとの予測も送電管理者により行われている。影響は国外のほうが大きい。欧州委員よりも批判が出ている。

ドイツに対する怨嗟の声

 フランス出身のブルトン欧州委員は、7月にドイツは3基の原発を継続利用すべきと発言していたが、ドイツのハーベック経済・気候保護相の脱原発決定の発表後にドイツ政府と面談し、その後記者会見を行った。委員は、エネルギー生産のためできることは何でもするのが、全ての国の責任であると指摘した。その上で、ベルギーの脱原発の延期を歓迎するとコメントし、この冬を乗り切るために、能力を持つ国は何でも行うことが極めて重要であり、それが連帯の本質と述べた。 

 正にドイツに対する批判としか思えない。欧州議会議員からも、「天然ガス価格が急騰しているのはドイツが買い漁っているからだ。他のEU加盟国を痛みつけている」と非難するコメントが出ている。

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