2022年9月27日(火)

World Energy Watch

2022年9月16日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 EUでは、ガスが不足した時に相互に助け合う連帯制度に関する協定が2国間で行われているが、ドイツの周辺4カ国、ベルギー、オランダ、ポーランド、ルクセンブルクは、ドイツとの2国間協定の交渉を拒否したと報じられている。ガス事業者への補填が面倒という理由とされているが、本音は異なるのかもしれない。

 ドイツの脱原発により迷惑を受けるのは、欧州だけではない。日本も無縁ではない。

さらに上がる日本の電気料金

 日本の7月の石炭とLNGの輸入価格は、円安もあり、前月からそれぞれ14%、24%上昇した。前年同月比の約3.8倍と2.3倍だ。欧州との比較では、まだ相対的に安価と言えるが、それでも発電の燃料費だけで、石炭でもLNGでも1kWh当たり約17円になる。

 今の電気料金では発電事業者は大きな赤字を抱えることになるので、これから電気料金の上昇が予想される。ガス料金も同じく値上がりする。そんな中でドイツが化石燃料の追加調達に乗り出せば、LNGにも石炭にも価格上昇圧力が強まる。

 このエネルギー危機の最中でも自分たちの党が拠り所とする脱原発の主張を曲げず、世界に迷惑をかけることも厭わない緑の党を支持する欧州市民はいるのだろうか。脱原発の中止は狂気の沙汰と外務大臣は述べたが、狂気の沙汰は脱原発ではないのだろうか。

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