2024年4月15日(月)

家庭医の日常

2023年3月1日

病気や症状、生活環境がそれぞれ異なる患者の相談に対し、患者の心身や生活すべてを診る家庭医がどのように診察して、健康を改善させていくか。患者とのやり取りを通じてその日常を伝える。
(Chinnapong/gettyimages)

<本日の患者1>
Y.U.さん、42歳、女性、雑誌編集者。

「先生、私、更年期じゃないでしょうか」

「どうしてそう思うのですか」

「だって、何かこのごろ疲れやすいし、イライラしてるって会社の若い子たちに言われるんです。更年期になってないか診断して下さい」

 若い女性に人気がある雑誌の編集をしているY.U.さんは、私が働く診療所にはかれこれ5年前から受診している。現在5歳になっている娘K.ちゃんの出産後うつ病になって、いろいろと医療機関への受診を繰り返し、最終的にここを受診した。2年前までにはうつ病も落ち着いて、現在は新型コロナウイルスの予防接種やK.ちゃんの病気などで来院していた。

<本日の患者2>
K.S.さん、50歳、女性、書店パート。

「すぐに尿が出そうになってお店に迷惑かけてるんです。スッキリ出ないし、夜に失禁しそうになったこともあります」

「それで膀胱炎の治療はしたけれど良くならなかったのですね。話しづらいかもしれませんが、性交渉はありますか。それで何か困ったことは無いですか」

「50歳にもなって恥ずかしいんですけど、してます。でも、膣が乾燥してるようで、主人に抱かれる時に痛いんです」

 K.S.さんは、店主の友人に頼まれて書店の支払いカウンターでパートをしている。「膀胱炎に違いない」と思う症状があって、複数の医院で抗菌薬を含む治療をしたけれど症状が良くならなかったそうだ。私が働く診療所には初めての受診だ。一見して肥満とわかる体型をしている。衣服や頭髪からだろうか、タバコの臭いがした。

<本日の患者3>
H.T.さん、39歳、女性、コールセンター・オペレーター。

「私に女性ホルモンを処方してもらえませんか」

「どうして女性ホルモンがほしいのですか」

「更年期のイヤな症状が良くなるって言われてるじゃないですか。テレビや雑誌でよく見ますよ。私もう『アラフォー』ですからね。予防しときたいんです」

 H.T.さんは、5年前に離婚して、実家で母親S.T.さん(70歳)の介護をしている。子どもはいない。S.T.さんは、認知症、高血圧、変形性膝関節症、骨粗鬆症があり、私たちが在宅ケアをしているので、娘のH.T.さんとはその度に会っている。

 前回S.T.さんの訪問診療に行った時にこう切り出されたのだ。H.T.さん本人の健康問題について相談されたのは今回が初めてだ。そう言えば、S.T.さんの骨粗鬆症について説明した時に女性ホルモンを話題にしたことを思い出した。

 家庭医は、性別や年齢に関係なくいろいろな健康問題について相談を受ける。それは、どんな問題でも「それは私の専門外です」とは言わないということを意味している。

 まず自分で診る。約8割ぐらいの問題は自分で解決できるが、他の専門家が扱うべき問題を見出して適切に紹介することも、その後のフォローアップをすることも家庭医の重要な役割である。

 今回は、更年期に関係する訴えが続いたので、この領域での家庭医のケアについて書いてみたい。


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