その悪循環を一時的に止めたのが皮肉にも、東日本大震災でした。放射性物質の影響で、漁獲が一時的に止まり、その時に生まれたサバが、成魚になって卵を産み資源が一時的に回復して行きました。
サバ以外にもマダラやイカナゴなど資源が一時的に急回復した魚種がありましたが、震災前と同じように科学的根拠による漁獲枠もなく漁業を続けた結果、震災前のひどい状態に逆戻りしています。
歴史にタラレバは禁物ですが、実にもったいないことをしました。さらに悪いことに、その自覚がないので同じ過ちを繰り返す環境のままです。
サバの資源評価は合っているのか?
下のグラフは、マサバ(太平洋系群)の漁獲量推移です。東日本大震災に襲われて漁業が一時停止した2011年以降に、漁獲量が増加しています。青が日本で、オレンジがロシアそして灰色が中国の漁獲量です。
中国は公海での漁獲ですが、ロシアは日本海域での漁獲許可があるため、日本海域での漁獲量を含んでいます。漁獲量は増えていますが、1970~80年代ほどではないことがわかります。
一方で、下のグラフはマサバ(太平洋系群)の資源量推移を表しています。親魚の資源量は今よりはるかに漁獲量が多かった70~80年代を超えているグラフになっています。しかも大部分が4歳以上のマサバです。
しかしながら、実際に漁獲されているマサバは200グラム前後の小型主体と聞きます。しかも不漁。データが正しければ、漁獲枠通りにサバが漁獲され、かつ4歳以上・400グラム以上のマサバがもっと潤沢に獲れていたはずです。マサバと年齢と体重の関係は下のグラフを参照願います。
資源評価は、漁獲枠などの漁業管理する際に根拠となる非常に重要なものです。仮に評価と異なることが予想される場合は、訂正しないとその評価をもとに漁獲が進んでしまい、資源にさらに悪影響を与えてしまう懸念が出ます。