2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2023年5月14日

間違った勉強のやり方が理科嫌いにする

 中学受験の勉強は、大手進学塾の受験コースが始まる4年生からスタートします。こういうと身も蓋もないのですが、長年、中学受験の指導をして実感しているのは、実は4年生の段階で「この子は理系に強いな」「この子は理系科目で苦労しそうだな」とある程度の勝負が決まっているということ。やはり、小さいときから子どもの〝不思議〟を大事にしてきた家庭の子は伸びやすく、タスクを与え続けられた子は伸びにくい傾向があります。

 ただ一つ、気をつけなければいけないことがあります。小さいときから、子どもの〝不思議〟を大事にしてきた家庭でも、いざ中学受験の勉強が始まると、テストの点に一喜一憂してしまうことがあります。そして、「もっと頑張らせなきゃ!」と闇雲に知識を覚えようとしたり、類似問題をたくさん解かせたりといったりといった勉強のやり方に走ってしまうのです。

 すると、子どもは途端に勉強が面白くなくなってしまいます。「あの子は植物が好きだから」「ものづくりが得意だから」と、お子さんの興味や得意を伸ばすために選択した中学受験で、勉強が嫌いになってしまっては本末転倒です。

自発的に問いを持てば人生を主体的に切り拓ける

 中学受験では、同じテキストで同じカリキュラム、しかも同じ先生の授業を受けているのにもかかわらず、学力が伸びる子どもがいる一方で、残念ながら伸び悩む子どもが確実に存在します。その差は一体何なのでしょうか? 持って生まれた才能? それとも努力?

 筆者は、その差はいろいろなことを面白がることができるかどうかの気持ちの有無のように感じています。

 何気ない日常の中で、「なぜだろう?」「な〜るほど、そういうことか!」「それじゃあ、アレはどうなる?」と知的な快感を小さいときからどれだけたくさん経験してきたかどうかが、理系の力を伸ばすだけでなく、その先の人生でも大きな力になる、そう考えています。

 小学生の子どもにとって、13ページにも及ぶ問題文を読み進めていくのは、並大抵なことではありません。「途中で時間がなくなってしまったらどうしよう。まったく分からなかったらどうしよう」と、不安になる子も多いでしょう。

 でも、小さいときから「知らなかったことが分かるのは楽しい」「新しい発見をするのは面白い」という経験をしてきた子なら、「どれどれ、今日の入試は何がテーマなのかな? えっ? 落花生? こんなにたくさん何が書いてあるのだろう?」とワクワクしながら読み始めます。そういう子は、大学受験でも、社会に出て仕事をするようになっても、「なぜ?」を大事にするから、問題解決に向かう力が鍛えられるし、「もっと良くするにはどうしたらいいのか」主体的に考え、自分なりに工夫していく力を身に付けていきます。つまり、自分の人生を自分で切り拓いていける人になるのです。

 AIに多くの職業が取って代わられると言われる時代、AIに使われる側になるのか、使う側になるのか。実はもうすでに勝負は始まっているのです。

このように、昨今の中学入試でも顕著に表れていますが、いわゆる「論理的思考力」が大切である、ということは子どもにとってはもちろん、社会に出てもその重要性は変わりません。私たちはこれらを「本質的な理系力」と位置づけ、子どもたちがその力を身につけるためにどうしたらよいかのか、『理系が得意になる子の育て方』でより具体的な方法を提案しています。詳細はこちら
 
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