米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)の5月22日付の解説記事‘To Aid Ukraine in Fight Against Russia, Allies Look to Security Model Like Israel’s’が、ウクライナの安全のために、イスラエルの安全保障のモデルに倣い、軍事支援を内容とする二国間協定を北大西洋条約機構(NATO)諸国がウクライナと結ぶという提案が西側諸国の間で支持を集めていると報じている。要旨は次の通り。
米国その他NATOの首脳は、ウクライナの防衛を強化するため、イスラエルの安全保障のモデルに倣ったビジョンでまとまりつつある。ポーランドのドゥダ大統領はWSJのインタビューで、イスラエル・モデルによる安全保障協定は、武器と先端技術の移転をプライオリティーとするものだと述べた。
この安全保障協定は、ウクライナの将来のNATO加盟へのプロセスと関連付けられることとなろうが、NATOがロシアとの紛争の当事者となることは避けられる
今や、このコンセプトは7月のリトアニアの首都ビリニュスにおけるNATO首脳会議を前にして西側諸国の間で支持を集めつつある。このキーウ安全保障協定(Kyiv Security Compact)と呼ばれている安全保障協定は、NATO首脳会議の後に署名することが予想されている。
イスラエルはNATO加盟国ではなく、米国はイスラエルの防衛に駆けつける条約上の義務を負っている訳でもない。しかし、イスラエルは長年にわたり、中東におけるワシントンの最も屈強なパートナーとして、米国との特別な関係を享受して来ており、戦後における米国の援助の最大の受益国でもある。
ウクライナに関する同様の協定は、大統領選挙を控える米国、および経済的コストが議論されている欧州のいくつかの諸国において、ウクライナ支援が蝕まれることを期待してプーチン大統領が戦争を長引かせることを思いとどまらせることを狙いとすることとなる。
イスラエル・モデルのコンセプトは昨年9月にゼレンスキー大統領の補佐官のアンドリー・イェルマーク、および前NATO事務総長のアナス・フォー・ラスムセンによって起草されたとされる。この提案によれば、多国間の枠組みの中において一連の二国間の保証が提供される形となる。米国、英国、ドイツ、フランスを含む諸国が当事国となることが想定されている。
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この記事はポーランドのドゥダ大統領のインタビューを基礎に書かれたものである。彼は、ウクライナの安全保障のため、ウクライナに対する軍事支援を内容とする二国間協定をウクライナとNATO諸国が結ぶという構想について議論が進行中であることを明らかにしている。