世界の大手自動車メーカーの売上高利益率は、図-3に示されている。ESGの評価と利益率に相関関係はないようだ。
ESGの評価が高い会社は投資を呼び込むことができるので、これから高収益企業に育つとの意見もあるだろう。
しかし、大きな疑問がある。ESGの評価を行う会社により、スコアには大きな違いがあるのだ。日本の東洋経済の評価とS&Pのスコアを比較すると大きく異なる(図-4)。
どちらの評価が正しいのだろうか。あるいは、どちらとも間違っているのだろうか。なぜ異なる評価がでるのだろうか。
ESG評価は信頼できるのか
ESGの評価が高い会社の株価は相対的に値上がり率が良いと考え、株式購入の参考にしている投資家もいる。ESG投資信託を購入している人もいる。評価が大きく異なる場合には投資をどこにすれば良いのだろうか。そもそも評価は信頼できるのだろうか。
なぜ評価に違いがでるかと言えば、統一された評価基準はなく、評価会社がばらばらの基準を使っているからだ。加えて、評価の方法は、多くの場合アンケートと客観的な数字によっているが、アンケート項目も統一されていない。客観的な数字も正しく利用されているか分からない。主観的な基準での評価になっている可能性がある。
アンケートの答え方ひとつで評価は変わる。答えを盛ることも可能だ。評価を行う会社がセミナーを開催している。セミナーに出れば点数を上げる方法も学ぶことになるのではないか。答え方で評価を上げることが可能であれば、信頼性は揺らぐ。
客観的なデータも怪しい。今日本の企業では女性の社外取締役が増えている。元アナウンサー、タレントなどが就任したニュースが多く流れた。女性の取締役がいれば、ESGの評価点が上がるからだ。企業経営の視点とは関係がない。企業で女性が活躍することは重要だが、取締役がいれば多様性を実践していることになる評価軸は正しいのだろうか。