2024年11月22日(金)

World Energy Watch

2023年7月10日

 ESGの評価軸の多くは主観的になり、信頼性を欠くことになる。マスクのESGに関するコメントもまんざら的外れではないようだ。

どう評価を見ていくべきか

 企業がESGあるいはSDGsに取り組むことは、当然だ。しかし、評価を上げるために取り組みを過大に見せ宣伝に利用するようになれば本末転倒だ。

 米国では保守派から反ESG攻撃があるだけでなく、環境派からもESG活動に対し批判がある。米国デルタ航空はネットゼロを達成するため、合成燃料の利用などに加えカーボンクレジットを利用する計画を20年に発表した。カーボンクレジットは、第3者が削減した二酸化炭素量を購入し、自社の目標に利用する制度だ。対象として熱帯雨林の管理などが挙げられていた。

 活動家がデルタ航空を訴えた。価値のないカーボンクレジット購入は温暖化の解決には何ら寄与せず、デルタ航空の宣伝は明白に虚偽との主張だ。

 ESGの評価を上げるため企業は努力しているが、実質が伴わなければグリーンウォッシュとして訴訟のリスクを抱える。

 日本では、保守派も活動家もまだ静かだが、米国、欧州の出来事は、やがて日本にも広がるだろう。実現が危ぶまれる目標を掲げたり、反感を買うような宣伝をすることは、企業のリスクを増やすだけだ。

 基準も曖昧なESG評価に捕らわれず、企業は事業を通しどのように世の中に貢献できるのか、さらに、これからどれだけ世の中を変えることができるのかを考え行動すべきだ。ESGに振り回されない姿勢が評価されるのではないか。

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