自民党女性局のフランス研修に対する批判が炎上している。これに限らず議員の海外研修はたびたび問題になる。なぜなのか。海外視察旅行が成果を挙げるための条件を満たしておらず安易に人に頼る旅行をするからである。条件とは何か。
海外出張の目的を明確に
条件の第一は、目的の明確化である。フランスの少子化対策だったら、日本でわかることもたくさんある。
数十年前から出生率が回復傾向にあった、その要因として各種手当の充実があった、婚外子を社会的に排除しない風潮も追い風となった、女性が働きやすい環境があった、しかし近年は出生率にも陰りが見られる。そこまでは日本にいてもわかる。
現地に行く目的は、手当の給付がどう効果があり、近年はなぜ限界が見えたのかを知ることだ。もちろん働く女性のナマの声を聞いて回ることもいい。
筆者が20年前に都庁を退職してから100回以上の海外調査・交流を通じて得た経験から、現地に行ったからこそわかることはたくさんある。向こうの議員や行政幹部からのヒアリングも大いに有効だ。ただし、こちらが数十人ではだめだ。
これが第二の条件となるが、一人か、せいぜい数人で訪問し率直な話を聞くべきだ。大勢で押しかけたら公式見解しか聞けないから旅費を使う意味がない。
フランスの出生率に陰りが見られる一因は、将来の生活に対する不安だと推測することもできる。デモやストが頻発しているからだ。この推測に対するフランスの政治家や識者の見解を直接聞いて回ることも、議員にとっては参考になると思う。