2024年12月22日(日)

教養としての中東情勢

2023年10月13日

 パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエル軍の全面衝突に発展した「ガザ戦争」は同軍地上部隊のガザ侵攻が切迫する中、死傷者が増加の一途をたどっている。この戦争に終わりがあるのか、あるとしたらどういう形で決着するのか。人質の行方はどうなるのか。中東側と米国側の視点から今後のシナリオを占ってみた。 

ハマスの急襲によって始まった「ガザ戦争」はどう決着するのか(新華社/アフロ)

侵攻はいつか

(米国)今回のハマスの電撃攻撃は米国の「9・11」(中枢同時テロ)に擬えられている。イスラエルの犠牲者は1300人を超えた。1973年の第4次中東戦争以来の歴史的な人的損失だが、イスラエルはハマスを残虐非道な「第2のイスラム国(IS)」(ネタニヤフ首相)と呼び、「悪魔の権化」(バイデン米大統領)に仕立てる宣伝戦に躍起になっているが?

(中東)その通りだ。ネタニヤフ首相はナチのホロコースト以来、歴史上、このような残虐な行為を目にしたことはないと言っている。具体的には、侵入したハマスの戦闘員が子どもまで殺害し、ユダヤ人市民を縛って処刑したり、兵士の首を切断したり、はたまた5台のジープで若者らをひき殺したなどとハマス側の行為を非難している。これが米国や欧州主要国など国際社会の支持を得ており、ハマスのレッテル張りに成功しているようだ。

(米国)地上部隊侵攻に向けた地ならしをしているのではないかと思う。「こんな野蛮なひとたちを成敗するのだから、イスラエルの軍事行動を支持してほしい」ということだ。国際法違反などと批判をさせないためだろう。すでに予備役36万人を動員した。

 ガザ地区の境界周辺には戦車部隊が続々と集結している。「数日以内」に侵攻を開始するのではないか。米国からも弾薬などが届いた。

(中東)いや、そう簡単じゃない。イスラエルが07年、占領していたガザ地区から撤退した後、イスラエル軍はハマスとの戦闘激化で、09年と14年の2回、地上部隊を侵攻させた。


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