つまり、来年1000万円を受け取るためにいま必要なのは、952万3809円というわけだ。言い換えれば、金利5%のもとでは、今年の952万3809円と来年の1000万円の価値は同値であり、将来の1000万円の現時点に割り引いた価値─割引現在価値は、952万3809円ということになる。
一般化すれば、ある金額X円の1年後の割引現在価値は、金利がr%のもとでは、X円÷(1+r/100)で求められることになる。逆に言えば、金利5%のもと、今日の1000円札は来年の952.4円の価値しかないことになる。つまり、今日の1円と来年の1円は同じではない。
「年収の壁」への対策パッケージ
厚生労働省は9月27日、年収が一定額を超えると社会保険料の支払いが生じて手取りが減る「年収の壁」対策に関する支援強化パッケージを公表した。
いわゆる「年収の壁」には、会社員や公務員に扶養されている者が従業員数101人以上の企業で週20時間以上働いて年収106万円を超すと、扶養から外れて社会保険の被保険者となり厚生年金や健康保険の保険料を負担し、手取り収入が減少することを回避するために労働時間を調整する「106万円の壁」がある。「106万の壁」の要件に該当しない場合でも、自身の収入が130万円を超えると配偶者の健康保険、厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で国民健康保険、国民年金に加入しなければならなくなるので、手取り収入が減少することを回避するため労働時間を調整する「130万円の壁」も存在している。
「106万円の壁」に対しては、パート・アルバイトで働く者の、厚生年金や健康保険の加入に併せて、社会保険適用促進手当の支給、賃上げによる基本給の増額など実質的に保険料を肩代わりして手取り収入を減らさない取組を実施する企業に対して、労働者1人当たり3年で最大50万円、週の所定労働時間を4時間以上延長すると1人あたり30万円を助成する支援を行うこととした。なお、106万円の壁の算定基準には賞与、時間外・深夜・休日の割増賃金、皆勤手当などは含まれない。
「130万円の壁」に対しては、パート・アルバイトで働く者が、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、連続2年までは引き続き被扶養者認定が可能とすることとした。